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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第137回

~『日本よ、完全自立を』(石原慎太郎著)を読んで学んだこと~

 

ダメなのは最近の若者ではない。

 

本書は内容が過激すぎるというか、正直過ぎて物議をかもしそうな部分もありますので、本来ならここでご紹介すべきものではないかもしれません。

ただ、世の中の「オトナ」たちが、問題の本質をオブラートに包み、あらゆる問題を先送りした結果が今の世の中であり、そういう意味では、これらの諸問題に対して、おかしいだろう?と、素直に言っているだけであり、何の利害関係もない引退したような身の人だからこそ言えることなのかもしれません。

あえていえば、どこか特定の国を擁護し、特定の国だけを批判しているという偏った内容でなく、日本、中国、アメリカに限らず、ほぼすべての国をおしなべて批判しています。

そういう意味では、根っからの批評家というと語弊があるかもしれませんが、著者は、常に冷静かつ客観的に物事を見られる人なんだなと思います。

正直、言い回しが回りくどくてちょっと読みにくいと感じますが(笑)、本書は、現在のあらゆる問題について考えるよいキッカケになるのではと思います。

 

では、以下が今回の引用箇所です。

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/photos/女の子-勇敢な-勇気-独立-843076/

 

【この本のポイント!】

 

この国の将来

最近大学で同窓の気の合った仲間数人と会食した折、誰しもがこの国は将来は一体どういう事になっているのだろうかという、慨嘆とも危惧ともつかぬ言葉を口にしていたものだった。私とてこのところ同じ漠たる感慨を抱きつづけている。それは今まさに激しく変動しつつあるこの世界の中でのこの国の立ち位置の危うさと、この国自身における天変地異ともいうべき現象を合わせた懸念に他ならない。

(中略)戦後間もなくの大学時代の粗末な寮生活で味わった貧困を懐かしくさえ思える高度経済成長の末の今日の反映は世界屈指のものに違いない。私たちの世代が断片的に体験した戦争は、同窓の際どい年齢差の多くの先輩たちの犠牲でなりたち、それが引き金になって中世以来続いていた白人による有色人種への一方的な植民地支配と収奪は、現今のヨーロッパの混乱と衰退が証すように終わりを告げつつある。トインビーが人類の歴史における奇蹟と称した有色人種で唯一の近代国家日本の存在は、太平洋戦争を引き金に世界の歴史をようやく変貌させたのだ。

(中略)この夏の異常な暑さと水害の続発には、まさしく天変地異の印象がぬぐえない。しかしこれはこの日本人一人に限ったことではなしに地球の随所に見られる現象だ。私はと知事時代に世界全体が存外吞気にかまえている温暖化現象について警告してきたつもりだが、NASAのハンセン教授がかねて警告してきた通り北極海の氷は後数十年で溶けてしまうだろう。世界中の氷河は解けて崩落し海水は膨れ上がり蒸発した水分は大気に溜り大雨となって地球を襲うという循環を誰がどう防ぐのだろうか。

この今になると四十年前に東京で聞いた天才宇宙学者ホーキングの予言を思い出さぬ訳にいかない。この地球のように文明の発達した天体は自然の循環が狂って宇宙時間いえば瞬間的、およそ百年間でその生命は消滅すると。(後略)

(「産経新聞」二〇一五年十月十九日)

 

『日本よ、完全自立を』P166~P169


画像引用元:https://pixabay.com/ja/photos/手-地球-次世代の-気候保護-4087018/

 

日本や世界の将来はどうなってしまうか?

これは、別に今の時代に始まったことではなく、古今東西、どこでも言われてきたことだと思います。私からしてみれば、「最近の若者は…」という愚痴と同じです。

ちなみに、このセリフは、古代エジプトやギリシャでも言われていた記録が残っているそうです。

つまり、年配者が「最近の若者は…」と、感じるのは、自分たちの若い頃と今の若者が異なるという事実を感じているのであって、それに対して良い悪いと論じるのは単なる好き嫌いと同じです。

要は、「最近の若者は自分が若い頃と比べるとまるでなっていない。全然ダメで好きになれない。」と、言っているだけです。

もっと言えば、老害老人が、若者に相手にされないのを愚痴っているだけであり、このような人を相手にする若者は当然いないわけで、相手にされない方は、年配者に対する敬意が足りないとか言って怒りだすわけです。

若者というか、大衆というか、人間というのはバカではありませんので、同じ年配者であっても、このような時代遅れの人と付き合いたいと思う人はほぼなく、当然、未来に向けて前向きな考えの人と付き合います。

ですので、「最近の若者は…」などと言っている人は、まず自分がそのような考え方に陥っている原因を真摯に受け止め、悪いのは最近の若者ではなく、最近の若者を理解しない自分に問題があるのではないかと思い直し、常に新しいことを取り入れ、新しい課題を解決する姿勢を続ければ、自然と最近の若者の考え方が理解できてくるはずです。

ここで大事なことは、別に若者に媚を売れということではありません。若者はそのような年配者を軽蔑します。大人は大人としての威厳と責任感があるわけで、もし若者が道を踏み外しそうになった時は命懸けで踏みとどまらせるのは大人の仕事です。

しかしながら、このようにただいたずらに世を憂うことに何の意味があるのでしょうか?政治にせよ、天変地異にせよ、経済にせよ、もし本気で心配しているのであれば、まずは自らが行動を起こせばいいです。自分一人では無理だと思うのなら、自分が中心となって人を集め、行動を起こせばいいです。

本当にダメなのは、このように心配ばかりして行動しない人だとつくづく思います。

 

一介の読書オタクより

 


画像引用元:https://www.amazon.co.jp/日本よ、完全自立を-文春新書-石原-慎太郎/dp/4166611852

参考図書:『日本よ、完全自立を』
発行年月:2018年10月
著者:石原慎太郎(いしはら・しんたろう)
発行所:文藝春秋
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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