ビジョンを明確にして行動しましょう!

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第37回

~『孫の二乗の法則 孫正義の成功哲学』(板垣英憲)を読んで学んだこと~

 

ビジョンが無いとピントが外れた人生になってしまう

 

本書は、現在ビジネスの世界で大活躍されているソフトバンクの孫正義さんについて書かれた本です。ただ、この手の本はたいてい本人が書いている(あるいは、あまり良いことだとは思いませんが、秘書なり身近な人が書いたうえで、本人の名義を使って出版している)場合が多いのですが、本書は本人ではなく他人が孫氏について書くという形態を採っています。

本書が面白いのは、孫さんについて書かれているところはもちろん目を見張るものがありますが、同時に、孫さんが大好きな織田信長に関するエピソードも度々引用されており、背信長ファンや戦国時代ファンにも一見の価値ありの内容となっています。

いずれにせよ、二人に共通しているのは、ビジョンを明確にし、それに沿って行動しているということです。以下に例として何箇所か引用します。

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/%E8%B5%B7%E6%A5%AD%E5%AE%B6-%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%87%E3%82%A2-%E8%83%BD%E5%8A%9B-%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3-%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%83%E3%83%88-%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0-1340649/

 

【この本のポイント!】

 

(前略)桶狭間の合戦に至るまでの「長期作戦計画」は、十年以上も前、すなわち、父・信秀の時代から立案されていたともいわれている。(後略)

『孫の二乗の法則』P50

 

(前略)だが、その実、第一歩は途方もない大野心を秘めたものであった。いよいよソフトバンクをつくる日の朝から、孫正義は何もないオフィスにみかん箱を持ち込み、その上に乗って二人のアルバイトに自らの夢を一生懸命に語った。
「五年以内に百億円の売上規模にする。十年以内に五百億円。いずれは何兆円、何万人規模の会社にする」
その後も孫は同じことを毎日のように熱く語り続けたが、二人のアルバイトはポカンと口を開けながら聞いているばかりで、まもなく二人とも辞めてしまった。よほど気がふれたとでも感じ、呆(あき)れ果ててしまったのである。(中略)
一般的に、一つの分野で第一人者になるには最低十年はかかるといわれている。
「十年後にはこうありたい」と自分が成りたい姿を思い描くとすれば、いますぐにその実現に向けて計画を立てなければ手遅れになる。
自分が目標とする姿になるための条件が揃わなくては計画もできない、というのでは拙劣(せつれつ)えある。事が起きるのは遠い将来であっても、そのための準備はいますぐ始めなくては間に合わない。

『孫の二乗の法則』P64~66

 

(前略)「百の知識よりも、一の信念」である。ビジネス戦争においては、一の信念は、百の知識にはるかに勝り、効果が高い。勝つか負けるかの命を賭けるビジネス戦争では、一つの事業を遂行する力を与えるのは信念であり、知識ではない。(中略)
また、この理念、志というのは、企業にだけ必要なものではない。個人においても「大義名分」をもって頑張っている人の周りには、自然と優秀な才能や協力者が集まってくるものだ。「百の知識よりも、一の信念」というのは個人にもいえることなのである。

『孫の二乗の法則』P147

 

(前略)信長は、ここで謙信と決戦することの愚を悟ったのである。彼の本来の目的は京都確保にある。こんな所で川中島合戦のような名人戦をやっていたんでは、たとい勝っても損害が大きく、時日も無駄になり、その間に、漁夫の利を狙う第三者のため京都を占領される恐れがある。(中略)
しかし、この不名誉な退却が信長に天下を握らせたのである。あの向こう意気の強くて怒りっぽい信長が、よくも我慢をしたものである。長篠における武田勝頼とくらべてみると、『さすがは名将!』と、その勇気に感嘆させられる。(後略)

『孫の二乗の法則』P194~195

 

(前略)こうした「戦略」の大切さを何よりわかっていたのは織田信長である。
信長は、尾張の国から一直線に京都の都へ引いた線に沿ってそこだけを攻めて陣地を拡大していった。それ以外の方向は同盟を結んで、できるだけ戦わないようにしている。
これに対して、武田信玄は甲斐(かい)の国の周囲360度へ常に戦いを仕掛けた。越後(えちご)の上杉謙信は、京とはまるで正反対の関東地方や甲州に出陣して、戦いに明け暮れていた。つまり、いずれも自分の陣地をいかに守るか、自分の陣地をいかに少しずつ広げるか、ということに終始していた。行き当たりばったりだったのである。
この結果、天下を狙って京を目指すのが大幅に遅れ、どちらもピント外れの人生を送ってしまっている。その点、織田信長は利口だった。

『孫の二乗の法則』P215

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/%E9%9B%BB%E5%8D%93-%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97-%E3%83%9A%E3%83%B3-%E3%82%AA%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%B9-%E3%83%A9%E3%83%80%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%8A%E3%83%B3-%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC%E9%9B%BB%E5%8D%93-178127/

 

このように見ていくと、織田信長は天下統一、ソフトバンクの孫氏はビジネスの世界でのナンバーワンを目指して、常にブレずに邁進しているように感じますが、その根本には長期的なビジョンがあるということがわかります。

いずれにせよ、二人とも若くして何十年先のまでの計画を立てられるのはスゴイですね。いや、正確に言えば、若くして老後のことまでしっかりと計画を立てられること自体は、さほどスゴイことではありませんし、できる人は多いと思います。大事なのは、若くして人生は短いということを悟ったところだと思います。また、ビジョンを立てる際には、ただ単にぼやっと考えるのではなく、徹底的に計画を立案し、修正し、それを確実に実行することです。そして、最後の実行するということが、たいていの人はできません。なぜなら、何だかんだいって途中で飽きてしまうからです。

人生は短いと知れば、おのずと長期計画を立て、それに向かって愚直に邁進することで、他の不要なことから手を引きくことができるようになります。まぁこれ自体は「言うは易く行うは難し」だと思いますが、少なくとも、行き当たりばったりで時間を浪費することは避けられると思います。

ただ、忘れてはいけないのは、自分にとって向き不向きは少なからず存在します。もちろん、自分には向いてないからと、やる前から、あるいはちょっとやっただけでわかった気になって軽率に判断するのは言語道断ですが、ほとんどの人は、ある程度は模索する時間が必要でしょう。また、人生は人それぞれなので、みんながみんなこの二人のように頑張る必要もないと思っています。

また、過ぎ去った時間を後悔しても始まりませんので、大事なのは、一刻も早く自分が一番力を発揮できる領域を見つけ、そこでナンバーワンになれるように計画を立て、邁進することではないかと思います。

 

一介の読書オタクより

 


画像引用元:https://www.amazon.co.jp/%E5%AD%AB%E3%81%AE%E4%BA%8C%E4%B9%97%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87-%E5%AD%AB%E6%AD%A3%E7%BE%A9%E3%81%AE%E6%88%90%E5%8A%9F%E5%93%B2%E5%AD%A6-PHP%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%BF%E5%9E%A3-%E8%8B%B1%E6%86%B2/dp/4569676219

 

参考図書:『孫の二乗の法則 孫正義の成功哲学』
発行年月:2011年4月
著者:板垣英憲(いたがき・えいけん)
発行所:PHP研究所

※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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