生産管理システムの設計(6)実際のシステム

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これまで概念的な話しをしてきました。最後に、実際のシステムにおいては、各機能の画面はどのようになるのかについて見てみましょう。(下記の画面はマウスでダブルクリックすると少し大きくなりますが、ブログへアップする時の画面サイズの関係で、画面の右端が切れてしまいました。)
1)制令画面(生産指示)
生産管理課から製造へ、生産計画に基づく生産の発注(生産指示)を行う画面です。この画面で入力した生産指示番号が、途中の工程を経て、完成品として倉庫へ入庫するまで、すべての画面で必要になってきます。これは、システム的な一貫性を保ち、データの追跡を容易にしますが、製造現場で使用する現品票に付与できる工場は多くありません。従って、システム導入時および運用においては、生産管理課と製造課の認識のギャップを生み出す元になる事が多いと思われます。

 

画像引用元:http://www.isl.hk/blog/bobby/archives/1101

 

下記は制令の入力画面です。

 

 画像引用元:http://www.isl.hk/blog/bobby/archives/1101

 

2)領料画面(材料払出し)
制令画面で作成した生産指示番号に基いて、倉庫から製造へ材料を払い出す為の画面です。生産管理課と製造課の認識のすり合わせを容易にする為に、生産指示番号を1日単位ではなく、1週間とか1ヶ月単位にまるめて運用する場合には、生産指示数量が大きな数字なりますが、領料(材料の払出し)は可能な限り分割して少ないロット(できれば1日単位)で行えるようにするべきであると考えます。故に、システム上でも、分割領料が可能になるようにします。

 

画像引用元:http://www.isl.hk/blog/bobby/archives/1101

 

下記は入力画面です。分割領料については上記で述べましたが、総生産指示数量に対して、現在までの領料数量の累計と残りの数量が画面上で容易に見えるようにする事は、現場の運用を容易にします。

 

 画像引用元:http://www.isl.hk/blog/bobby/archives/1101

 

3)在制品投料画面(工程間の仕掛品の移動)
工程の出口から次の工程の入口へ半製品の移動を行う画面です。領料画面の次にこの処理を行う場合は、これ以前に工程がありませんので、最初の工程の入口へ仕掛り品を計上するだけとなります。2番目の工程以降については、前の工程の出口にある仕掛品を、次の工程の入口へ移動させる処理となります。下記では入力画面がありませんが、実際の入力は、ポップアップ画面を表示して、生産指示番号別にリスト表示されている仕掛品(数量)を選択して、保存するだけで、次の工程へ自動的に移動します。

 

 画像引用元:http://www.isl.hk/blog/bobby/archives/1101

 

4)生産日報画面(工程の入口から出口へ半製品の移動)
1日の製造の結果を入力する画面です。システムで設定された工程の入口から出口へ仕掛品を移動させる処理を行います。

 

画像引用元:http://www.isl.hk/blog/bobby/archives/1101

 

下記は入力画面です。生産指示番号の他に、工程名、良品数量などを入力します。

 

画像引用元:http://www.isl.hk/blog/bobby/archives/1101

 

5)完工品入庫(完成品入庫)
製造が完了して品質検査が終わった後で、倉庫への完成品の入庫計上の処理を行います。

 

画像引用元:http://www.isl.hk/blog/bobby/archives/1101

 

下記は入力画面です。この画面で生産指示番号、品番、入庫数量などを入力します。

 

画像引用元:http://www.isl.hk/blog/bobby/archives/1101

 

6)BOM(部材構成表)
BOM(ボム)とは完成品を製造する為に必要なすべての部材等が含まれている構成表です。このシステムではマルチ階層に対応しており、工程の定義もBOMで行います。この画面に生産指示番号、品番、入庫数量などを入力します。領料(材料の払出し)の理論数量をシステムが計算するのにも必要となります。

 

画像引用元:http://www.isl.hk/blog/bobby/archives/1101

 

実際の生産管理のシステムでは、上記の他に領料の反対の退領画面や、在庫調整、月末棚卸し画面などが必要となりますが、今回は割愛します。

以上、6回に渡り、基本的な生産管理システムの設計について考察しました。私の考えをまとめる事が目的の記事ですが、これから生産管理システムを設計しようとしている方、あるいは既存のシステムを改善しようとしている方の参考になれば幸いです。

これまで述べてきた内容の中で、なにか間違いありましたらコメント欄で結構ですのでご指摘下さい。

 

記事引用元:http://www.isl.hk/blog/bobby/archives/1101

 

September 25, 2014 | Posted by bobby

石水智尚 / 総経理 艾斯尔计算机技术(深圳)有限公司

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