予測不可能な未来を実感する21年目の旧正月
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上海に来ている。
1月28日は2017年の春節(旧正月)だった。日本の正月と言えば1月1日の元旦を指すが、中国では太陰暦の1月1日に当たる旧正月を新しい年のはじまりとして祝う。個人的にはじめて中国、香港で暮らすようになってから21回目の旧正月となる。過去20年間で世界でもっとも経済成長を遂げた国が中国であることは間違いのない事実だろう。
1995年当時中国の名目GDPは約USD737Bで世界第8位の規模だった。当時1位のアメリカがUSD7,664Bだったので中国の経済規模はざっくりアメリカの10分の1だったということになる。当時GDP7位はブラジル、9位はスペイン。2016年の同ランキングでは中国は世界第1位のUSD11,392Bで1位アメリカの18,562Bの6割ぐらいの規模になっている。中国はこの間かなりのインフレを経験しているので実質GDPでの数字は大きく変わってくるがそれでも今は3位の日本を凌駕していることには代わりない。ちなみに日本のGDPはここ20年間、ほぼUSD5,000(ざっくり500兆円)前後であまり変わっていない。日の暮れた上海をタクシーの中から眺めながら経済成長がもたらした街並みの変化に改めて感心していた。
画像引用元:http://ameblo.jp/borderless-investment/entry-12242444785.html
1995年には近代的な建築物はほとんどなく、今や世界第2位の高さを誇る上海中心をはじめ400mを超える世界有数の高層ビルが3棟もひしめいている浦東地区には東方明珠TVタワーがぽつんと一本建っているのみだった。10元(約170円)あればお腹一杯になっていた食事、今同じものを食べると50元はくだらない。日常の消費に関わる費用は20年間でだいたい5倍から7倍程度のインフレがあった。これは体感でも間違っていない。
不動産の値上がりはこと上海に限っては常軌を逸していると言って良い。近代的な住宅の販売が盛んになってきた1998年頃、1平米あたり4,000元ぐらいだったマンション価格は今や6万元/平米程度になっている。15倍ぐらいの価格上昇があったのもにわかに信じがたい実話である。
「中国の不動産はもうバブルだ」と言われはじめてからももう10年以上が経っており、その間に少なくとも2倍以上になっている。この状況がバブルだとは自分自身も思う。
しかしいったいどこからどこまでがバブルなのか?これ以上のバブルはあるのか、ないのか?それはまったく分からない、ということも中国の経済成長の中で悟ったことである。中国都市部の人の平均年収はは1995年で約10,000元、現在は60,000万元なので6倍ぐらいになっているのはインフレ率とだいたい符合していると言える。一方で中国ほど平均の収入がアテにならない国もない。格差が激しく一部の人への富の集中が激しいからである。10人のうち9人が年収1万元で1人が年収91万元なら10人の平均年収は10万元だがそれが実情を表していないのは誰の目にも明らかだろう。だが10人に1人が大金持ちであれば13億人の人口を抱える中国では1億人以上の富裕層がいることになる。
画像引用元:http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6276
これが確かな証拠に日本を始め各国で中国人は「爆買い」の猛威を振るい、そのマナーに眉を顰められれながらも歓迎される旅行者となっている。また国内で飽き足らない中国人投資家が海外で不動産を買い漁り、その国の価格を上昇させ、現地の若者が家を買えなくなるという現象を引き起こしている現実もある。だがそれらの人の多くは20年前には平均的な日本人のレベルに及ばない生活を送っていたのである。
「以前日本は憧れの的でそこに出稼ぎにゆくことが夢だったが、今俺たちは東京に家を買いに行っている。信じられない現実だ」とある上海人が言っていた。20年前には誰にも予想のできなかった未来がここにあり、この間に大きく環境が変わった家族がいればたいして変わらなかった家族もいる。これからの20年ももちろん予測不能。
財を築くために投資する先は20年の成長が過渡期に入っている場所より、20年間なんの変化もない場所より、次の成長地域や分野であることだけは間違いないのだが。我々にできるのは少なくともできる限り有用な知識と情報を集めて、その時その時を行動して足掻くしかない。
記事引用元:
http://ameblo.jp/borderless-investment/entry-12242444785.html
2017年01月29日
玉利将彦
Website:http://www.borderless-investment.com/
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