不正のプロファイル ①-下

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次の財務諸表不正のキーセンテンスは、「会社の為を思い手を染める財務諸表不正」。

 

つまり、それ自体(財務諸表不正)が目的ではなく、ある目的達成の手段として使われるという事である。例を挙げれば、株価維持や融資条件クリアの為の問題を解決に対処する「時間を稼ぐ」為などで、過去の財務諸表不正の大半は、不正実行者は金銭的な利益はほとんど何も得ていない。

財務不正の手口は、資産/収益/利益の過大表示、あるいは負債/費用/損失の過小表示が使われ、実際より見かけの利益が上乗せされる事になる。例外としては、納税負担の軽減を図る為に利益をマイナスに操作したり、来期に備えた収益の一部先送りしたりするケースで、会計処理としては逆方向の仕訳になる。

財務諸表を改ざんする能力と動機をもった経営陣が、この不正を行う事にもっとも近い立場にあると言える。一般的に不正調査自体が経営者の監督の下に実施されるので、全てがベールに覆われてしまい気付き難い。このような特徴から、内部通報等により発見されるまで長期に渡り不正が続くことになる。

 


画像引用元:http://design-career.com/select6

 

そして最後にもう一つのキーセンテンス「会社の状況を取り繕わなければならないプレッシャー」について。

財務諸表不正が行われるのは、以下のような理由による。
・会社の目標や目的を達成する為
・賞与を得る為
・1株当たり利益の増加を示し、株価を吊り上げる為
・営業キャッシュフローの赤字体質を隠ぺいする為
・自社に対する市場の否定的な認識を払拭、新たな資金調達を行う為

この中でも開示した業績予想の未達が大きなプレッシャーになる事が指摘されており、特に米国などでは決算発表の時点で短期業績予想を開示しない会社もある。例えば、原油価格や市場の株価が、直接的に会社業績に跳ね返る会社などでその傾向は強いようだ。

 

川島肇

FREMONT BUSINESS SOLUTION (HK) LTD.

http://www.frement.com/

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