第39回 「中国華南市場の過去と現在考察」
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今回5年ぶりに中国華南地区(香港=>シンセン・広州・東莞・中山)を訪問した。タイ市場はソンクラン中で営業ができず、当社上海法人の支援依頼に沿ったものである。
シンセンといえば、先日、時計製造業のC社の突然の工場撤退が行われた地である。1000人クラスの工場の現地撤退は、中国・日本の双方にインパクトを与えた様子である。
実際、多くの日系工場が人件費の高騰から、華南地区よりの撤退を模索していることが、今回の華南訪問で分かったが、逆に、メーカを中心にこの地で頑張っている日系企業もある。しかし、印象としては、5年前の訪問とは異なり、多くの日系企業の工場およびその宣伝看板は鳴りを潜め、中国民営企業の発展が目についた。この地で頑張る日系メーカも、中国国内市場での地位向上なしには、事業継続が難しいという現実がある。
画像引用元:https://globis.jp/article/5440
中国市場のこの状況は、次第に人件費のあがりつつあるタイ市場でも他人事でないように思われる。しかも、タイ市場は中国市場とは異なり、内需という面では期待できない。輸出型の生産拠点では、中国以上に生き残りのための準備が今から求められるように感じる。台頭する中国民営製造業では、生産スケジューラ導入の動きも盛んだ。彼らは、過去、どのようなシステムを利用してきていようが、変革には躊躇がない。タイ工場でも見習う点が多いのではないだろうか。実際、今回訪問した中山の日系グローバル企業の工場総経理は、「歴史は中国工場が浅いが、進取の気概はタイ工場に勝る」とのコメントもあった。
画像引用元:http://www.newsclip.be/article/img/2015/05/24/25733/12012.html
この地で踏ん張るサプライヤには思いもかけない恩恵もある。多くの日系サプライヤが撤退する中、上記のようなメーカから新しい取引の打診があることだ。しかし、こうした工場でも、多品種少量生産の環境変化に加えて、少ない人員・機械稼働率の中でいかに、利益をあげていくのかが懸案となっている。
生産スケジューラが寄与する環境がそこにある。タイでは、ティアワンクラスの工場でないと対投資費用効果が算定しにくいが、中国では、人件費の高騰からティアツー企業での当社製品導入の事例も増えてきている。
顧客から常に聞かれるのは、「日本の他社製品と比較して御社製品の優位性は?中国ローカルシステム会社の提供する生産スケジューラとの違いは?」であるが、答えは明確である。「日本製品同士の違いはあまりない。しかし、現地導入体制およびその後の保守体制には大きな違いがある。生産スケジューラは、買いさえすれば動く、動き続けるものではない」「中国製の生産スケジューラとは、いまだ、その機能・スケジューリングスピードには大きな差がある。同じようなものが作れても、品質が違うという点は、製造業の製品とも共通する」
画像引用元:http://www.recordchina.co.jp/b177409-s0-c60.html
当社製品は、日本市場においていまだ機能アップを続けている。すでに圧倒的な国内シェアをもち、多くの機能を有する当社製品には、もうこれ以上バージョンアップする必要はないとの意見もある。しかし、それはまちがいで、こうした進展する海外市場でその製品の優位性を保ち、勝ち続けるには、日系製造業の国内工場がマザー工場ととして進歩を続けているのと同様に、ソフトウェア製品の機能アップも欠かせない。
どちらの道を選択するのか?そして選んだ道をあきらめず、どこまで進みつづけられるのか?が成功のキーといえるのではないだろうか?
記事引用元:http://www.newsclip.be/article/2015/05/24/25733.html
2015年5月24日(日) 20時23分(タイ時間)
ASPROVA
担当:藤井(fujii@asprova.com)
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