あなたはお金やアイデアを出しただけで満足していませんか?

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第142回

~『失敗しようがない 華僑の起業ノート』(大城太著)を読んで学んだこと~

 

とにかくやることが大事だが、やり方を考え過ぎてもいけない。

 

自分は中国に住んでいるからというのもありますが、中国の人たちは全般的にビジネスをするのが上手だなという印象です。

やれば失敗もするので、今まで見てきたすべての人たちが成功しているわけではありませんが、目を見張るのは、ダメだった時の撤退の速さです。そして、ピンチに陥った時は別の仲間を入れることを躊躇しないということです。これらの思い切りの良さは大いに学ぶべきだなと。

また、資本的に強く結びつかなくとも、集団を形成して、緩くグループをつくることで、お互いに独立を保ちながらお互いの人脈を上手く活用するのも上手だなと日頃から感じています。

もちろん、それでもダメとなった時は他人の迷惑も考えずにボンっと投げ出して後は知らんぷりという無責任な人も少なくないですし、これまで建設業界でやってきたのに、儲からなくなったので急に全部やめてラーメン屋をやり出すなど、無謀と言えないこともないダイナミックさも含めて華僑的ななり方なのでしょう。

いずれにせよ、その辺のことが上手くまとめて書かれているので、下記引用箇所をご覧ください。

 


画像引用元:
https://pixabay.com/ja/photos/%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%BC-%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E4%BA%BA-%E7%AB%B9-%E9%A3%9F-2336079/

 

【この本のポイント!】

 

「アイデア」「お金」「作業」でチームを作る

これらは、すべてビジネスに不可欠な要素です。(中略)

これらをチームの人材として考えると、「アイデアを出す人」「お金を出す人」「作業をする人」となります。

スタートアップ時にそれぞれ最低1人ずつ確保するのが華僑のチーム作りの鉄則なのです。必ず最低3人揃わなければやりません。

華僑流では人数よりも役割が重要なのですが、3人という数にも意味があります。1人は個人、2人は相棒・パートナー、3人で初めて組織・チームとなる。

これも図で考えるとイメージしやすいと思います。

1人は点、2人は線、3人は綿。広がるのは面だけです。最初に3人揃えることで可能性がぜんぜん違ってくるのですね。(後略)

『失敗しようがない 華僑の起業ノート』P52

 

 

「お金を出す人」兼「アイデアを出す人」→ビジネスが短命に終わる

お金とアイデア、この2つの役割を1人で兼ねた場合、お金優先かアイデア優先かによって問題の出方は違ってきますが、いずれにしてもビジネスが長く続かないという、残念な結果を招きます。

まずは「お金優先」の場合。(中略)

ビジネスは長く続ければ続けるほど儲かりますので、お客さんとの関係を育(はぐく)みながら長期にわたって少しずつ利益を頂戴するのが王道なのです。目の前のお金を取りにいこうとすれば、一度に大金をむしり取るようなやり方になり、後が続かず数年ももちません。

そして、「アイデア優先」の場合は、アイデアを早く形にしたいという気持ちが資金計画を狂わせる恐れがあります。アイデアは無限でも手持ちのお金は有限。(中略)

いくら素晴らしいアイデアでも想定通りにいくことなど稀で、途中の修正が必要になってきます。その時にもうお金がないとなれば、ハイ終了ですね。

ビジネスは“継続”が命。この原則を無視しないために、「お金を出す人」と「アイデアを出す人」は分けなければなりません。そしてお互いに牽制し合いながら、バランスを取ることが重要なのです。

『失敗しようがない 華僑の起業ノート』P54~P55

 


画像引用元:
https://pixabay.com/ja/photos/%E6%9D%B1%E6%B4%8B%E3%81%AE%E7%9C%9F%E7%8F%A0%E3%82%BF%E3%83%AF%E3%83%BC-%E4%B8%8A%E6%B5%B7-%E5%B8%82-415474/

 

これまでにビジネスをしてきた経験がある人なら、今回の引用箇所に書かれている内容が身に染みて理解できると思います。

最初の引用箇所では、意外と落とし穴になっているのが「作業する人」が足りていないことです。が人間の本質の一つでもあるのでしょう。

実現したいビジネスプランがあり、応援してくれる投資家もいて始めても、肝心の作業する人がいないと進みません。

そして、この「作業する人」で大事なのは、仮に「アイデアを出す人」が社長で、「お金を出す人」が投資家だとして、「作業をする人」がこの2人の意見を聞いて作業するだけのオペレーターでは無いということです。

特別なノウハウや技術がいらない「作業」であれば、たとえ能力が高くなくとも、信頼できてやる気が人にその「作業」をさせればいいのですが、そうではなく、たとえば、技術的に難しいビジネスであれば、「作業する人」にその技術力が伴っているか、多少足りなくても勉強しながらでもレベルアップして取り組まない限り、結果的に「作業」していないのと同じです。

いずれにせよ、投資家やCEOだけでは何も始まらず、COOやCTO的な役割の人がいてはじめて事業として前に進むのだと私は理解しています。

後者もその通りで、一人社長の場合は、お金を出す人もアイデアを出す人も作業をする人もすべて自分一人で、一人三役を担っていることになります。それはそれで自分自身の個の能力を上げることはできますが、ビジネスマンとして、特に経営者としてのレベルアップは難しく、よくいって自営業止まりでしょう。

ただ、お金を出す人とアイデアを出す人は違った方がいいというのは私も賛同しますが、それだけでなく、「アイデアを出す人」と「作業をする人」もイコールなのはよくないと思います。

アイデアはつまり、ビジネスプランだというのが本引用箇所での話ですが、別の言い方をすればビジョンであるとも言えます。

つまり、やりたい、達成したいビジョンがあっても、もしそのアイデアを出す人が作業をする人を兼任していたら、実務的な大変さや技術的な困難さを考慮してしまい、結局は、突き抜けたアイデアを出すことが難しくなってしまいます。

アイデアを出す時に短期的な儲けを意識してしまうのがダメなら、同じように目先の技術的なことや実務的な面倒臭さはまったく考慮に入れないでビジョンを作成するのが、トップとしての正しい姿勢ではないでしょうか?

一介の読書オタクより

 


画像引用元:https://www.amazon.co.jp/s?k=%E8%8F%AF%E5%83%91%E3%81%AE%E8%B5%B7%E6%A5%AD%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%88&i=stripbooks&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&ref=nb_sb_noss_2

 

参考図書:『失敗しようがない 華僑の起業ノート』
発行年月:2015年5月
著者:大城太(おおしろ・だい)
発行所:日本実業出版社

※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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