素直な心とは?

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第18回

~『素直な心になるために』(松下幸之助)を読んで学んだこと~

 

その境地に到達できるのはいつでしょうか?

 

パナソニックの創業者である故・松下幸之助さんは、経営の神様といわれ、様々な名言や書籍を残されています。私も彼の言葉が収められた本を何冊か持っていますが、松下幸之助さんが残された言葉はとても自然で、書物はどれも読みやすく、一回の移動中に一気に読み終えてしまうことも多いです。

今回はその中から、特に胸に響いたというか、多くの人にとって耳が痛くなるような表題の本を選びました。以下に、本書のタイトルと一番関連していると思われる箇所を引用します。

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/%E7%B4%8D%E5%B1%8B-%E6%9C%A8%E6%9D%90-%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%AC-%E5%8F%A4%E3%81%84-%E6%9C%A8%E9%80%A0-%E8%BE%B2%E6%9D%91-%E7%B4%A0%E6%9C%B4%E3%81%AA-%E3%83%90%E3%82%B9%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%A0-1522547/

 

【この本のポイント!】

寛 容

《素直な心の内容の中には、万物万人いっさいを許しいれる広い寛容の心というものも含まれている》

(前略)寛容とは、広い心をもって、よく人を許し入れるということです。また人のあやまちに対して、きびしくとがめだてしないということです。したがって、よくないことをした人に対して善意をもってそのあやまちを正すということはしたとしても、よくないことをしたからといってその人を憎み、その存在を許さない、というようなことはしないということです。それでは寛容ということにはならないだろうと思われます。
(中略)やはりお互いに相手を許し入れるという寛容の心を養っていくことが大切ではないかと思います。お互いが広い寛容の心をもちあうならば、たとえ相手に少しくらい非があっても、それをあたたかく許し、また自分の非も許されるということにもなって、ともどもに安らかに暮らしていくこともできやすくなるでしょう。
(中略)
それでは、そいういった好ましい寛容の心はいったいどこから生まれてくるのかといいますと、それはやはり素直な心から生まれてくるものだと思います。つまり、素直な心というものになれば、おのずとそういう寛容の心があらわれてくるのではないかと思うのです。
素直な心は万物万人いっさいの本当の姿をとらわれなく見つめ、これをともどもに正しく生かそうとする心です。したがって、素直な心になれば万物万人いっさいのそれぞれの良さというか意義というか、価値、長所、そういったものが明らかになるわけです。そしてそのように万物万人いっさいの良さを見ていけば、まったく無用のものというか、排除すべきものは何もないことがわかってきます。だからもし仮に、これまでの通念から見て好ましからざるような姿があったとしても、その良さを見、それを生かしていこうと考えれば、それなりの意義というものがわかってきます。だからあえてそれを否定し排除するようなことはせず、寛容の心をもって処していくというわけです。
このように、素直な心になれば、万物万人いっさいを許しいれる広い寛容な心というものがあらわれてくるのではないかと思われます。

『素直な心になるために』P38~P42

 


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人間にミスはつきものですし、人生にはトラブルがつきものです。

この部分を読むと、「何が起こっても寛容な心をもってことにあたりなさい。そうすれば、物事はきっと上手くいきますよ。」と、松下翁から言われているような気がします。そして、その寛容な心をもつためには、「素直な心をもちなさい。」と、松下翁はおっしゃっています。

しかしながら、ではどうすれば素直な心をもつことができるかというと、なんだかよくわかりません。その答えは自分で見つけなさいということなのかもしれませんし、以前読んだ松下翁の本に、子供の頃から掃除を大切にしているようなことが書いてありましたので、常に掃除を心がけることで素直な心が身に付くのかもしれません。実際、掃除をすると心が整って気持ちが落ち着きます。

ただ、それも大事なことの一つでしょうが、素直な心をもつために必要な私なりの答えは、「反省する」こと、「欲張らない」こと、そして、「覚悟をもつ」ことです。

失敗したら必ず反省する。
自分だけ得をしようとせず、他人の利益も考える。
何事にも当事者意識をもって事にあたる。

こんなこと当たり前だと思うかもしれませんが、大晦日の今日思うのは、この一年を通していろんなことにチャレンジし、いろんな方と出会い、いろんなことがありましたが、自分も含めてこれができていない人が非常に多いと感じた一年であったということです。

自他共に失敗したことの原因を考えると、たいていは、反省していないか、欲張っていたか、あるいは覚悟が不足していたかのいずれかに行き着きます。

 


画像引用元:
https://pixabay.com/ja/%E5%A4%AA%E9%99%BD-%E9%9B%AA-%E5%BF%83-herzchen-%E7%9F%B3-%E5%B1%B1-%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0-1756322/

 

何かにチャレンジして失敗するのは仕方がありません。ただ、失敗するのは結果論であって、失敗して開き直るのは以ての外です。なぜなら、失敗するときは必ず人さまに迷惑をかけることになるからです。ですので、迷惑をかけた人への謝罪の気持ちをもつことはもちろんのこと、また同じような被害者を出さないためにも、失敗を反省し、次につなげなければなりません。これは義務にも似たことで、迷惑をかけた人たちに対する唯一の謝罪方法であるかもしれません。

ところが、失敗しても反省しない人、開き直る人は、ものの見事にまったく同じ失敗をし、日々被害者を生み出しています。この手の人は救いようがありません。松下翁はこのような人にも寛容な心であたれと言うかもしれませんし、言わないかもしれませんが、私はこのような成長しない人とは関わりたくないです。

また、欲張りな人は、他人は利用するために存在している。と、思っているように感じました。これはあくまで私の私見ですので批判はお受けしますが、こういう人は、他の人を利用してやらせるだけ自分では何もしません。自分では何もしなくても、お金や時間を費やすなど、それなりにリスクを取るのであれば十分理解できるのですが、欲張りな人は、たいていはこのようなことも一切せず、とにかく、如何に楽をしてもうけようかと思っているように感じます。

覚悟が無い人も同じです。当事者であるのに当事者意識をもたずにことにあたってうまくいくわけがありません。

このように、今年は多くの失敗を目の当たりにしてきましたが、一方で、自分も数々の失敗をしました。ただそれも、結局は、失敗に対する反省が不十分で同じような過ちを繰り返してしまったり、欲張り過ぎて仕事のキャパを超えた結果、どれも中途半場になってしまったり、仮に自分がうまくできなくても他の誰かが何とかしてくれるだろうという甘えがあったことに起因していたと思います。

松下翁のいう「素直な心」というのは、どのような境地のことを指すのか私にはまだわかりません。ただ、反省し、欲張らず、覚悟を決めてことにあたれば、きっと、その「素直な心」というものに近づけるような気がします。そうすることで、物事がうまくいくようになり、その結果、心に余裕が生まれ、寛容な心へとつながっていくのだと思います。

明日からまた新しい一年が始まりますが、いつか松下翁がいう「素直な心」をもつことができるよう、焦らず、一日一日を精進してきたいと思います。

 

ということで、以上を読書オタクからの年末の挨拶とさせていただきます。

今後も引き続き毎週寄稿させていただきますので、来年もよろしくお願い致します!

 

一介の読書オタクより

 


画像引用元:https://www.amazon.co.jp/%E7%B4%A0%E7%9B%B4%E3%81%AA%E5%BF%83%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB-PHP%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%9D%BE%E4%B8%8B-%E5%B9%B8%E4%B9%8B%E5%8A%A9/dp/4569661629

 

参考図書:『素直な心になるために』
発行年月:2004年4月
著者:松下幸之助(まつした・こうのすけ)
発行所:PHP研究所

※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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