みなさんは上手に断れますか?

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第31回

~『エッセンシャル思考』(グレッグ・マキューン)を読んで学んだこと~

 

断ることは自分にとっても相手にとっても良いことである

 

日々生きていると、仕事であれプライベートであれ、いろんな人から様々なことを頼まれると思います。その中には直ぐにできることもあれば、時間がかかるものもありますし、自分がやりたいと思うこともあれば、あまり気が乗らないこともあると思います。

ここで問題なのは、時間がかかることやあまり気が乗らないことを気軽に引き受けてしまうことです。これは、依頼した相手にとってはプラスですが、自分にとってはマイナスでしかありません。もちろん、何でもかんでもプラスマイナスで考えるのもどうかと思いますが、自分がやると時間がかかり過ぎることややる気がでないことを引き受けることは、自分にとってマイナスであるだけでなく、スピードやクオリティーの低下を考えると、依頼した相手にとってもマイナスになる可能性が高くなります。

このように考えると、自分が嫌だと思う依頼は断るべきですが、人間なかなかそれができません。ただ、それをしなければならないと本書を読んでつくづく思いました。以下に特に気になった箇所を引用します。

 


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【この本のポイント!】

第11章 拒否―—―断固として上手に断る

 

勇気とは、
プレッシャーに負けない品格のことだ。
―—―アーネスト・ヘミングウェイ(作家)

 

(中略)自分が「正しい」と思うことと、誰かが「やれ」と言うことが、食い違っていた経験はあるだろうか。心の中で違うと思いながら、仕方がなく行動したことは?他人の顔色をうかがい、場を丸くおさめるためにイエスと言ったことは?上司や同僚、友人、親戚、近所の人などの誘いを、断るのが怖くて引き受けてしまったことは?
きっと思い当たることがあるはずだ。
他人からのプレッシャーに負けず、きっぱりと上手に断ることは、エッセンシャル思考の必須スキルである。と同時に、もっとも難しいスキルでもある。
断るためには、勇気が必要だ。切り捨てる勇気がなければ、「より少なく」という言葉は空疎なお題目になってしまう。「重要なことだけに集中しろ」と言うのはたやすいが、それを本当に実践している人は多くない。
ノーを言うのは、誰だって不安だ。せっかくのチャンスを逃すのは怖いし、自分の立場がまずくなるのは困る。尊敬する上司や大事な仲間を失望させたくない。そう思うのは自然であり、何も悪いことではない。だが、そういう気持ちに打ち克ってノーを言うことができなければ、それよりはるかに大切なものを失うことになってしまう。

大切なことを知っていれば断ることができる。

(中略)ビジネスの世界的権威だったスティーブン・コヴィーは、エッセンシャル思考の人だった。彼の教えもそうだが―—―たとえば「肝心なのは、肝心なことを肝心なままにしておくことだ」―――本人もそれをつねに実践していた。娘を優先するという決断によって、彼はいつまでも消えない思い出を娘にプレゼントしたのだ。
当然の行動だ、と思う人もいるかもしれない。だが、同じ立場に置かれたとき、娘を優先できる人がどれだけいるだろう。大切な仕事相手との会食を断り、古い友人と交流を深めるチャンスをふいにする決断が、即座にできるだろうか?
急に決断を迫られたとき、その場で正しく本質を選ぶのは難しい。自分にとって本当に重要なことを明確にしないかぎり、私たちは葛藤に対して無力なままだ。次々とやってくるタフな選択から私たちを守ってくれるのは、「自分にとって本当に重要なのはこれだ」という確信である。
ローザ・パークスの場合、人種差別に対する道徳的判断が彼女に強さを与えてくれた。スティーブン・コヴィーの場合、娘と楽しい夜を過ごしたいという明確な気持ちだった。何が本当に重要かを知っていたから、それ以外のことに「ノー」と言えたのだ。

上手に「ノー」と言う技術を身につける。

急な決断が難しい理由は、もうひとつある。他人にどう思われるか、という不安だ。
人は関係性に縛られた生き物である。数千年前の狩猟採集時代には、仲間とのつながりが生死を分ける鍵だった。周囲の期待に応えなければ、生き延びることができなかったのだ。同庁の必要性が弱まった現代でも、仲間に嫌われたくないという気持ちは私たちの心の奥底に強く根づいている。
(中略)この罠から脱け出すには、きっぱりと、しかも上手にノーと言う技術が不可欠だ。いったんそれができるようになれば、相手を失望させたり怒らせたりするのではないかという不安は消える。むしろ、断ることでより良好な関係を築くことが可能になる。エッセンシャル思考になってからつくづく実感するが、人はノーと言う勇気のある人を高く評価し、尊敬するのだ。
現代マネジメントの父と呼ばれるピーター・ドラッガーもノーを言う達人だった。
(中略)ピーター・ドラッガーは、エッセンシャル思考を正確に理解していた。
「ノーと言える人は仕事ができる」と彼は考えていた。
非エッセンシャル思考の人は、周囲の期待やプレッシャーに負けて、不本意なイエスを言ってしまう。よく考えもせず、相手を喜ばせるためだけに仕事を引き受ける。単純にその方が気分がいいからだ。
一方、エッセンシャル思考の人は、そうした気分のよさが長続きしないことを知っている。一瞬の満足のあとで、やってくるのは、深い後悔だ。なぜこんなことをやらねばならないのかと、相手を恨み、自分を責める。もっと重要な仕事が犠牲になったことに気づき、ショックを受ける。
あらゆる依頼を断れと言っているわけではない。本当に重要なことをやるために、本質的ではない依頼を断るのだ。肝心なのは、絶対にやるべきこと以外のすべてに対して、上手にノーと言うことである。(後略)

『エッセンシャル思考』P162~179

 


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本引用箇所に続いて上手に断るためのコツと実例が紹介されていますので、気になる方はぜひ手に取ってご自身でご確認ください。

ここでのポイントは、自分がやるべきことややらなければならないことを常日頃から考えておくことだと思います。先程、自分が嫌だと思うことは断るべきだと書きましたが、実は、これ自体はさほど難しくないと思います。なぜなら、嫌だからです。

問題は、自分が明確に嫌だと思わないようなことを依頼されたときです。

今時間があるからいいや。大して時間がかかるわけでもなさそうだし、まぁいいか。好きなことではないけれど、特に嫌だとも思わないからやってみよう。これをやれば自分が成長できる気がするから取り組んでみよう。これは大変そうだけど、後々のメリットが大きそうだからやろう。

多くの場合、このような依頼は引き受けてしまうと思います。そして、引き受けた後に後悔する確率が高くなります。なぜなら、これは自分がやるべきことだと決めたことではないからです。

 


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もちろん、思いもがけずやって良かったということもあるでしょう。それに、若ければ若いほど、自分にとって何が得意か、何をやりたいと思うか、目標は何かということが明確ではないと思います。ですので、経験を積むという意味でも、何でもかんでも断るということは良くありません。

ただ、それ以上に何でもかんでもやるのは良くないということです。初めの頃は何でも屋で構いませんが、時間と共に少しずつ見極める力をつけ、自分がやるべきことを徐々に明確にし、その他のことは捨て去る勇気が必要です。

この捨てるという行為は、物と同じだと思います。要は、自分のいる場所から物が無くなれば「捨てる」ことになります。つまり、誰かにあげることや売ってしまうことも立派な「捨てる」行為です。なにも、物をゴミ箱に捨てることだけが「捨てる」ことではありません。

これと同じで、誰かから依頼されたことを自分でやらないと決めた場合は、単純に断ってしまってもよいですが、もう一歩進んで、他の誰かを紹介してあげればいいと思います。また、場合によっては、自分で引き受けて他の人にお金を払ってやってもらうことでもよいと思います。こうすれば、依頼してきた側からも、紹介をされた側からも感謝されます。(但し、それがうまくいかなかった場合は逆に恨まれる可能性があるので要注意です。それはそれでどうかと思いますが。。。)また、自分が取り組んでいる事業を戦略的に売却することもこれに当てはまると思います。

いずれにせよ、話をいただくこと自体はものすごく大切なことです。チャンスが広がるわけですから。ですので、依頼を無下に断ることはせず、上手に対処しましょう。

 

一介の読書オタクより

 


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参考図書:『エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする』
発行年月:2014年11月
著者:グレッグ・マキューン(Greg McKeown)
訳者:高橋璃子(たかはし・りこ)
発行所:かんき出版

※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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