みなさんは他人に任せっ放しにしていませんか?
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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第59回
~『自分がいなくてもうまくいく仕組み』(山本敏行著)を読んで学んだこと~
任せた仕事は必ずフォローと確認をしてください。
本書は、かの有名なタスク管理型チャットアプリ、「ChatWork(チャットワーク)」の創業者が書いた本です。チャットワークは、特にビジネスに特化していることもあり、LINEやWeChatほど一般の人たちに馴染みがないかもしれませんが、タスク管理に特化しており、サーバー上に過去の履歴も残るため,仕事の管理という意味では非常に有用です。日系の会社ではお世話になっていることも多いと思います。
チャットワークはパソコン版だけでなく、スマホアプリ版もありますので、パソコンとスマホだけで仕事するような組織には必須のアイテムになりつつあります。特に、リーダーが常に出張などで飛び回っている場合は、スタッフとの間でタスク管理の問題が発生しますが、ローカル(端末)にしか履歴が残らないLINEやWeChatとは事なり、クラウド(サーバー)上に履歴が残るため、複数のメンバーで仕事を共有することができ、非常に効率よくかつ漏れなく仕事をすることが可能です。
いずれにせよ、私はチャットワークのまわし者ではないのでチャットワークの宣伝はこれくらいにして(笑)、本書はこのようなアプリの創業者が書いた本ということもあり、いかにして他人に仕事をお願いするかということに関する知見が多くちりばめられているように感じました。特に、下記引用箇所に触発されましたので、以下に引用致します。
画像引用元:
https://pixabay.com/ja/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF-%E9%81%8B%E5%8B%95-%E6%AD%AF%E8%BB%8A-%E3%82%AE%E3%82%A2-%E4%BC%9D%E9%80%81-%E8%BB%8A%E8%BC%AA-%E3%81%8A%E4%BA%92%E3%81%84%E3%81%AB-%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%9F%E3%82%AF%E3%82%B9-1081013/
【この本のポイント!】
自分ができることを任せていく
(中略)まず、最も重要なのが「任せて任さず」という認識です。これも松下幸之助さんの言葉で、任せながらも、任せきれない部分はリーダーがカバーするということです。
いざ実際に任せ始めたところで、スタッフがいきなりリーダーと同じパフォーマンスを発揮することを期待するのは少々酷というものです。
どうしても任せる以上は100%を期待しがちですが、何もせずしてスタッフがリーダーと同じパフォーマンスをできるようになるには、リーダーと同じだけのキャリアを積まねばならず、何年待てばよいのかという話になってしまいます。そんなことではいつまで経っても自分のコピーを作ることはできません。
そのために、一見矛盾しているようですが、任せながらも丸投げにはしないことを心がけるのです。そのスタッフが自分の70%まではこなせるだろうと感じるなら、30%はフォローしてあげましょう。自分のコピーを作るために仕事を任せる「複数人」には、自分自身も含まれているくらいのつもりでいるとよいでしょう。
そのようにして、スタッフ自身も支えられながらも経験を積むことで少しずつ100%に近づいていきます。
そして、スタッフの足りない部分をフォローするためには、プロジェクト全体を把握しておく必要があります。
特に、初めてスタッフに自分の仕事を任せる時は、そこで「時間ができたぞ」と油断して、新しいタスクを詰め込んで自分のスケジュールを埋めてしまってはいけません。少し余裕を持って、スタッフの様子をチェックできるようにしましょう。
ちなみに、仕事の向き不向きという観点では、私の場合は60%以上任せられると感じるスタッフは、その仕事に向いている可能性があると判断します。半分以上フォローしなければならないようなら、もっと向いた仕事を探してあげるべきだと思います。また、80%~90%以上任せられると思えるスタッフに関しては、敢えてフォローせずに、自分で残りの足りない部分に気づくことを期待して、様子を見守るようにしています。
加えて、任せて任さずの終点として、任せた仕事は必ず品質の最終チェックをする必要があります。
あくまでも、100%こなせるようになるまでは、スタッフの仕事ではなく、自分の仕事であることを忘れてはいけません。結果的に上手くいけば問題ありませんが、何かがあった時に、どのような失敗があったのかもわからず、リカバリーに奔走することになってしまう可能性があります。
私の場合、スタッフの仕事ぶりは当然チェックしていますが、スタッフ自身からの報告がまったく上がってこないと、すぐにチャットでメッセージを送り「報告があがってきてないよ?」と訊ねるようにしています。注意をするわけではなく、「任せているけど、失敗しても責任はとるから、その分報告をちゃんとしてね」といった感覚です。
また、中小企業の経営者の場合は、自分が携わっていない仕事であっても、経営者のキャラクター込みで判断されることが多いので「全員の仕事が経営者の品質で統一されているかどうか」ということは強く意識して、ブランドコントロールをすることが重要になると思います。(後略)
『自分がいなくてもうまくいく仕組み』P45~48
画像引用元:
https://pixabay.com/ja/%E6%89%8B-%E4%B8%80%E7%B7%92%E3%81%AB-%E4%BA%BA%E9%96%93-%E8%BB%A2%E9%80%81-%E9%83%A8%E5%93%81-%E4%BF%A1%E9%A0%BC-%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0-%E9%A3%9F%E5%93%81-2665660/
この部分を読んで個人的にグッときたのは、他人に任せることとフォローすることはワンセットだということと、仕事を任せる人は任せた仕事の品質を統一してブランドコントロールしなければならないという2点です。
松下幸之助さんの「任せて任さず」というコトバは知りませんでしたが、私が常日頃から感じているのは、「人に任せる」のと「人任せ」は異なるということです。ただ、人任せについては、完全に放置して、かつ場合によっては任せた人は結果責任も取らない。という風に解釈でき、そのように説明することも容易ですが、では、その対象となる「人に任せる」というのはどういうことか?というと、自分の中でもイマイチうまく説明できないでいました。ただ、本書を読んだことでかなりスッキリしました。つまり、人に任せるということは、以下の3つに要約できると思います。
1. 仕事を任せられた人が直ぐに完璧に仕事ができるわけはないので、仕事を任せた方は必ずフォローしてあげると共に、フォローする時間も必ず確保する。
2. 仕事を任せた人が結果責任を持つことはもちろんだが、同じ仕事を複数人に任せた場合は、同じ品質になるように確認する責任を負う。そのことによって、お客様に対するサービスにムラが発生しないようにコントロールする。
3. 人によって能力も向き不向きも様々なので、まずやらせてみることは大事だけれども、その任せた仕事に対してどれだけフォローしなければならないかで相手の向き不向きを見抜き、それに合った対応をし、限られたリソースを最大限に活用する。
私は本書を読んだことでこのような教訓を得ることができました。特に組織でリーダーをしている方には目から鱗の内容が盛りだくさんです。みなさんも、ぜひ一度、本書を手に取ってみてください。
一介の読書オタクより
画像引用元:https://www.amazon.co.jp/%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%8C%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%A6%E3%82%82%E3%81%86%E3%81%BE%E3%81%8F%E3%81%84%E3%81%8F%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF-%E5%B1%B1%E6%9C%AC-%E6%95%8F%E8%A1%8C/dp/4844373153/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1507946527&sr=1-1&keywords=%E8%87%AA%E5%88%86%E3%81%8C%E3%81%84%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%A6%E3%82%82%E3%81%86%E3%81%BE%E3%81%8F%E3%81%84%E3%81%8F%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF
参考図書:『自分がいなくてもうまくいく仕組み』
発行年月:2013年5月
著者:山本敏行(やまもと・としゆき)
発行所:株式会社クロスメディア・パブリッシング
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。
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