2017年世界株式市場の1ヶ月半

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2月10日、米国で安倍総理とトランプ大統領の会談が行われた。終始笑顔で一緒にゴルフに興じていた、トランプ大統領が力強い握手で応えた、尖閣諸島は日米安保の範囲内と確認する一方で米軍駐留費用について日本に更なる負担についての言及はなかった、会談中に起こったミサイル発射については両首脳が揃って北朝鮮を強く非難した、等々。その成果に好意的な報道が多い。

2017年に入って1ヶ月半が過ぎた。2月13日の日経平均株価の終値は19,459.15でほぼ年初終値と同水準で推移、早々に期待されていた20,000の大台を超えることなく18,000後半から19,500ぐらいを行ったり来たりだ。一方で新大統領が就任したアメリカのダウは今年に入ってはじめて20,000を超えて史上最高値水準にある。

史上最高値を更新し続けているのは英国のFTSE100も同じで、13日の終値は年初比で約+2%の7,278.92。2月8日にはブレグジット法案が下院可決され、英国のEU離脱手続きはまた一歩進んだ。ドイツのDAX指数の2月13日終値は11,774.43。こちらは昨年のブレグジットショックの9,000前半を底に2015年に記録した12,338.73に向けてじわじわと上昇している。

画像引用元:http://news.he-nan.com/article_312855.html

 

フランスは過去の高値にはまだまだ及ばないものの昨年以来の高値水準、イタリアは昨年初の高値にようやく戻る形。アジアではインドとインドネシアが2015年初め頃の最高値を回復する動きを見せている。上海の2月13日終値は3216.84。2015年の暴落前の5,000台、昨年初の暴落前の水準の3,500にはまだ遠く及ばないが一時期2,600台まで下がったことを考えるとじわじわと回復基調と言える。昨年初、30,000台まで下げたブラジルのボベスパ指数はリオ五輪を経て上昇を続け2月13日終値は66,967.64。2008年の70,000台には及ばないが2012年に記録した過去5年高値の67,782はもう目の前という状況。昨年の世界の株式市場はざっくりと年初に暴落した相場を1年かけて戻したような形だったが2017年の現時点まではその上昇の流れを汲んでいると言って良いだろう。

画像引用元:http://www.bwchinese.com/article/1065339.html

 

米新政権は開始早々TPPからの離脱を宣言するなど保護主義的経済政策の推進やロシアとの良好な関係というイメージからはじまり、ここにきて日本との同盟関係が強固なものであるという印象も強くなってきた。一方、TPPがこのまま頓挫するなら自由貿易協定としてRCEP(東アジア地域包括的経済連携)の交渉が重要性を帯びてくるかもしれない。

RCEPは中国が主導で提唱する自由貿易圏である。将来は中国が世界の自由貿易の旗振り役になるのか。実際保護主義を嫌うEU諸国が中国との連携を強めてゆく方向にあるという。だが、今年相次いで行なわれる欧州の選挙では右派が躍進する可能性もあり、そうなると一気に逆方向に振れるという不安定要素もあり。

2017年、気を緩めている暇がないのは変わりない。テレビのスイッチを入れれば安倍・トランプ会談のニュースがやたらと目につく。コメンテーターの言葉を聴くと、自分の国のリーダーが当初強面で理不尽そうに見えた同盟国の大統領と仲良くできてよかった、という論調が多い。何となく、”気に入られてよかった”という空気が蔓延している。会談の詳しい内容は伝わっていないのでその結果について今どうこうコメントすることは難しいがトランプ大統領は数々の事業を成功させてきたビジネスマンである。


画像引用元:http://www.js7tv.cn/news/201703_81901.html

 

交渉のテクニックとして地獄に落として地上に戻せば、本来目指していた天国に達しなくても相手は満足する。そんな駆引きもお手のものだろう。一連の報道が舞い上がりすぎている、と感じるのは私だけだろうか?本当に良好な関係を築けるのならそれに越したことはない。それならそれで将来の日本が今ほど米国の言いなりにならなくて済むような布石を打っておきたいものである。

 

記事引用元:http://ameblo.jp/borderless-investment/entry-12247771740.html

 

2017年02月14日

玉利将彦

Website:http://www.borderless-investment.com/

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