第46回 「中国工場とタイ工場へのシステム導入」

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両国に3年ずつ駐在させていただいて見えてきたことがある。システム導入に際して国に関係なく共通して留意すべき点と国により別途考慮すべき点だ。

共通する点は、カスタマイズをしない事、英語ではなく現地の言語で導入すべき事、日系製造業であれば必ず日本人が絡む事、導入作業自体よりは導入前の準備検討と導入後のシステム維持に注力を置く点だ。

中国とタイとの相違点は、中国工場は当然のことながらタイ工場と比較して日本人と中国人の間に緊張感が存在する事、その結果、良い点はお互いに妥協を許さず導入目的に専念できる点、悪い形になるとお互いに対立して落としどころがなくなる場合もある。

タイの日系工場の多くは中国工場よりも早く立ち上がり歴史を持つ自負心がある。結果、エクセル文化という障害も多い。中国工場は急速に立ち上がってきたため、進取の気概に富む工場も存在する。システム屋としてはどちらが良い悪いではなく、その工場の歴史と文化に対応したアプローチが不可欠と考える。

 

画像引用元:http://www.newsclip.be/article/img/2015/09/08/26807/13284.html

 

特に「生産スケジューラ」の導入に関しては、中国の方のほうが「デューデイト」に対する意識が高い。経済自体が国家として年間計画の中にある以上、期限は無視できない。
タイ側はどうしても「いつかできる」の思想になってしまう。インドネシアも含めてこうした国民性には、「予定実績を見える化」する事が有効だ。

システム運用者として両国ともに、女性のほうが適しているような気がする。特に生産スケジューラは細やかなマスタメンテが必要なうえに根気強い改善も求められる。また、女性のほうが離職率が低いこともあげられる。

さらに改善という観点からは、日本人の継続関与も否めない。特にタイでは、継続改善の意識が低い。生産スケジューラの導入目的には違いがある。中国工場ではあくまでバックワードスケジュールの全工程への適用のケースが多く、タイ工場ではフォワードスケジュールの限定された工程への適用例が多い。生産方式の違いだけでなく、生産スケジューラ導入の経験の有無なども影響している。

 

画像引用元:http://www.newsclip.be/article/img/2015/09/08/26807/13285.html

 

日本からロールアウトされてくるシステムはまずは中国工場から適用されるケースが多い。その結果、ローカルのシステム会社の成長も見られ、導入サポーターのレベルが高い事も中国工場のアドバンテージだ。タイでは一部システム会社を除いて、特に生産管理システム導入経験の乏しい企業が多い。製品メーカーの技術的支援が欠かせない。

両国の違いや共通点の多くは、その他アジアの国にも適用できる。重要なことは、個別の工場の歴史だけでなく、その国全体のITに対する素養や経験の有無、特に生産スケジューラに関しては「納期改善」の意識の高低などを勘案し準備を進めることだ。昨今ベトナムやフィリピンでも当社システムの需要は強いが、実際は日本人主体の導入になっていることは危惧される。

 

記事引用元:http://www.newsclip.be/article/2015/09/08/26807.html

 

2015年9月8日(火) 00時24分(タイ時間)

ASPROVA

担当:藤井(fujii@asprova.com)
ウェブサイト:www.asprova.com

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