第41回 「インターネット環境での生産スケジューラ」

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全世界工場のERP運用を日本のデータセンターにサーバーを置き運用している顧客が増えている。

財務会計システムのみの場合、生産管理システムまでと、企業によってその適用範囲はまちまちだ。生産スケジューラも同様の運用をする顧客も現れてきたが、いまだ国内拠点のみといった点が実態だ。生産スケジューラの命はその計算スピードと速いレスポンスにあるため、インターネット環境では十分なリアルタイム性が得られないことが原因であるようだ。

一方バッチ処理が中心のERPシステムでは、その運用がある程度見えてきたようだ。日本国内でマスタデータも含めて一括管理、海外工場を悩ます情報システム要員の定着度の低さも、日本に集中させることでいっきに解決される。一方生産スケジューラも処理だけを日本で行い結果のみを海外工場に送ることで理論上は運用が保てるように見える。

 

画像引用元:http://www.newsclip.be/article/img/2015/06/24/26052/12422.html

 

実態はどうなのか?国内サーバにリンクさせた海外工場向けの生産スケジューラは運用されていないことが多い。生産スケジューラは製造現場に近いシステムであり、現場で運用されることにより効果がでるためだ。日本国内の情報システムからすれば、生産スケジューラは管理外のシステムであることも影響している。全世界の生産スケジューラを一括して管理運用する部門が日本にないのだ。

長いスパンで見れば、海外工場の管理レベルの向上、さらなる通信環境の高速化などにより、生産スケジューラも近い将来日本のサーバで一括運用される日が来るかもしれない。しかしこれはあくまでインフラの問題であって、運用を維持管理するためにはそれらを一括管理する部門が日本に欠かせない。当社の経験からすれば、日本の「生産技術部門」「モノづくりセンタ」なる部門がそれに充当されるとよいと考えている。

工場のグローバル化は円安でも避けて通れない。その環境の中で異なる国を結ぶ管理システムにはITの利用はますます欠かせない状況となっていく。

 

画像引用元:http://www.iblc.co.jp/tag/it/

 

インターネット環境同様に、生産スケジューラもアプリケーションソフトウェアとはいえ、使用者側からすればツールにすぎない。

昨今多くの方から「他社ではどうしているのか?」「加工機械生産ラインと組み立て人員ラインの同期化は可能か?」などの質問が多い。出来うる限り解答しているが、本来は自社ラインでの導入目的を明確にできないまま、生産スケジューラの導入事例だけを追っても意味はない。

当社製品を長く使って結果をだしている顧客には、以下の共通点がある。

1. 生産スケジューラに多くを望まない
2. EXCELよりは各ラインの同期性を維持できる
3. 属人性を排除できる点で有効
4. ボトルネックラインで効果を出す
5. 自社でツールとして製品をよく理解

特に海外工場においては継続性が問題となる。よって保守契約を結ばない顧客の継続性は保証されていない。個人で購入する家電には保守契約を結ぶのに、なぜ、会社のそれには消極的なのか?中長期には担当には関係ないとすれば、それは経営者、管理者が判断すべきものである。

担当が退職し、システムが動かなくなってからでは、「後の祭り」。保険と割り切って、保守契約を締結していただきたい。

 

記事引用元:http://www.newsclip.be/article/2015/06/24/26052.html

 

2015年6月24日(水) 00時30分(タイ時間)

ASPROVA

担当:藤井(fujii@asprova.com)
ウェブサイト:www.asprova.com

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