みなさんはトラブルを未然に防いでいますか?

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第119回

~『六韜・三略 全訳「武経七書」③』(守屋洋著)を読んで学んだこと~

 

とはいえ、トラブルが起きた時の対応力も決して軽視すべきではない。

 

ここ最近、中国の戦国時代前後の人物が書いた書籍を立て続けにご紹介しています。

今回ご紹介する書籍は、その中でも特に有名な「六韜」にについて書かれた本です。とはいえ、「六韜」という書籍は、論語や孫子などと比べるとそこまで知名度は高くなく、かといって知る人ぞ知るというほどの本でもありませんが、本書の著者の「太公望」の名前はほとんどの人が知っているのではないでしょうか?

六韜は、実際に書かれた時代は諸説あるようですが、内容的には論語や孫子よりも古いせいか、私からすれば論語や孫子に関する若干読みにくいかなという気がします。ただ、本書も非常に示唆に富んだ内容が盛りだくさんです。では、次の引用箇所が特に気になりましたので以下に引用します。

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/黄山-山-風景-中国語-旅行-風光明媚な-有名な-カラフルです-532857/

 

【この本のポイント!】

第三十八 金鼓篇

武王がたずねた。
「軍を率いて諸侯の領内深く進攻して敵軍と対陣したとき、たまたま厳寒あるいは酷暑の季節で、雨が降り続いて十日もやまない。わが軍の堀や堡塁はすべて水びたしとなり、要害にある塞(とりで)も守りの役を果たさず、物見も役目を怠り、兵士も警戒心をなくしている。そういう備えのないところへ敵軍の夜襲にあって大混乱におちいったとする。いったいどうすればよいか」(中略)

■味方が大混乱に陥ったとき 武王は二度にわたって、「味方が大混乱に陥ったとき、どうすればよいか」とたずねている。それに対して太公望は直接答えようとせず、もっぱら大混乱に陥らないためにはどうすればよいか、その方策について語っている点が興味深い。思うに、大混乱に陥ってしまったのでは、もはやどんな知将でも策の立てようがないのである。そんな状態に追い込まれないように戦うのが、ほんとうの名将なのかもしれない。

第三十九 絶道篇

武王がたずねた。
「軍を率いて諸侯の領内深く進攻して敵軍と対陣したとき、敵はわが方の糧道を絶ち、前後から攻撃を仕掛けてきた。戦っても勝ち目はないし、守ろうとしても守りきれない。こんなとき、どうすればよいか」(中略)

■敵領内で窮地に立ったとき これも前項と同じ。窮地に立たされたときにどうすればよいかではなく、窮地に立たされないための策を述べている。これまた、戦いだけではなく、人生の生き方にもあてはまる。窮地に立たされてから、あわてて対策を講じるよりも、窮地に立たされないようにふだんから慎重に対応するのが、まっとうな生き方というものだろう。(後略)

『六韜・三略 全訳「武経七書」③』P167~P172

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/の壁-中国-badaling-2190047/

 

問題が起きないように、問題を未然に防ぐ。

確かにその通りです。ビジネスであれば十中八九そうすべきでしょう。

とはいえ、ビジネスは静かな戦争だと言われるように、ビジネスを進めている中で不測の時代が起こるのは日常茶飯事です。

ですので、個人的な意見をいえば、今回のように、質問者の問題が起きたらどう対処すればいいか?という質問に対しては、答える側はあまり難しく考えずに自分なりの答えを述べればいいと思います。

あるいは、それはわからない。なるようにしかならない。どうしようもない。

と、正面から正直に答えるなら理解できますが、その質問に真正面から答えないで、暗に、トラブルが起きないように事前に対処するべきだ。というのは、ちょっと違うかなと、というより、作り話的な要素が大きいように感じてしまいます。

それに、トラブルが起きないように事前に段取りしておくことが大事なのは言うまでもないのですが、そればかりでは、本当に問題が起こって直ぐに対処しなければいけない時に、迅速に対応できないのでは?と感じます。

段取り不足でトラブルばかり起きて、毎回その場しのぎの対処をしている人も問題ですが、その場を何とか乗り切る能力は、長い人生の中で必ず必要になると思います。

結局は、このようなこともバランスが大事なのかなと。

練習を積み重ねることは大事ですが、実戦経験が不足していれば実際に力を発揮することは難しいでしょう。だからと言って、実戦でのアウトプットばかりで練習を疎かにすれば、インプットが足りず、本当の意味でのレベルアップを図ることは難しいでしょう。

人間、いいときはどんな顔でもできますが、追い込まれた時にその人の本性が出ます。追い込まれた時に真価を発揮できるか。事前に準備することは決して軽視してはいけませんし、その能力は果断なく上げ続けるべきですが、いざという時の対応力も同じかそれ以上に大事にしてほしいものです。

 

一介の読書オタクより

 


画像引用元:https://www.amazon.co.jp/六韜・三略-全訳「武経七書」-守屋-洋/dp/4833416921

 

参考図書:『六韜・三略 全訳「武経七書」③』
発行年月:1999年10月
著者:守屋洋(もりや・ひろし)
発行所:河出書房

※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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