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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第127回

~『テレビは見てはいけない』(苫米地英人著)を読んで学んだこと~

 

ブームは口コミから起こる。

 

読書オタクは読書マニアともいえますが(笑)、今回引用する箇所はブームとテレビの関係について深く触れられています。

本書はテレビ業界の裏話からメディア全般の話まで、話題は多岐にわたっていますが、著者の他の著書と比べると政治的な内容は少ないです。

タイトルはともかく、要は洗脳されないようにしましょう。逆に思い込みを上手に活用しましょうというような内容になっています。

いずれとしましても、今回は次の内容が気になりましたので、以下に引用します。

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/子供-テレビ-子-ホーム-人-少年-家族-若いです-見-403582/

 

【この本のポイント!】

ブームはマニアから生まれる

このように私は、数多くの事象を仕掛けてきました。その多くは、二、三年かかって世間にじわじわと浸透してき、ある閾値(しきいち)を超えた瞬間に一気にメジャーとなります。
ブームを仕掛けるうえでテレビが大きな力を発揮することはいうまでもありません。しかし、ほんとうに仕掛けが効果を発揮するためには、テレビの前に、必ず口コミが必要となります。先に口コミがなければ、いくらテレビで仕掛けても効果がないのです。
マーケティング用語でいえば、「アーリーアダプター」と呼ばれる、先進的なセンスをもった人々の口コミによって評判になったものを「大衆化」させるのが、よくも悪くもテレビの力だといえます。
私は飲食店のコンサルティングも長年やっています。数年前、現在では大きく展開しているあるレストランチェーンのオーナーに、「いろいろと工夫しても、なかなか儲からないです。どうすればいいでしょうか」と相談されました。
私が彼に贈ったのはこんな言葉でした。
「東京で日常的に飲食店に行く人々の数が、通勤者も合わせて三〇〇〇万人いるとしよう。そのうちの六割が『おいしい』『感じがいい』と合格点を出す店をつくったとする。すると、そのお店のライバルは、駅前の飲み屋から六本木ヒルズの高級レストランまで、東京じゅうに何万店、何十万店と存在することになる。どの店も、少しでも多くの人に来てほしいと思ってしのぎを削っているからだ。
しかし、一〇〇人に一人が『ここはすごい』『自分のための店だ』と思うマニアックな店をつくったとする。すると、その店の潜在顧客は三〇万人にすぎないが、ライバル店も一〇〇分の一になる。さらにしぼって一〇〇〇人に一人だけのための店をつくれば、潜在顧客の三万人は『自分が通う店はここしかない』と思うようになる。そうすれば毎晩、店の前に行列ができるようになるよ」
一〇〇人に一人、一〇〇〇人に一人の超マニアックな嗜好(しこう)が大衆化するとき、ブームが起こります。オタクカルチャーやコスプレカルチャーがまさにそうです。マニアックな人たちが徹底的に自分たちの中でその文化を練り上げ、そこに目をつけたテレビ局やメディア関係者がそれを取り上げることで、はじめてブームとなるのです。
私が二十五年前に「脳機能学者」として研究を始めたとき、同じ領域をやっている日本人は一人もいませんでした。つまり、一億二〇〇〇万人に一人の存在だったわけです。超々マニアックな存在だったといっていいでしょう。(中略)
くりかえしますが、あらゆるカルチャーは、最初はごく少数のマニアックな人たちが始めて、それが口コミによって広がり、やがてメディアに載ることで多くの一般大衆のコンフォートゾーンに受け容れられ、社会に定着する。
これはいってみれば、社会的な「洗脳」です。
メディアの力は、さまざまな経済活動や政治活動に利用されていることを忘れてはなりません。

『テレビは見てはいけない』P82~P87

 


画像引用元: https://pixabay.com/ja/落書き-ストリート-アート-都市アート-壁画-アート-スプレー-2245715/

確かに、新聞や雑誌、テレビに取り上げられることで注目を浴び、一気にブームに火がつくことがあります。また、本書は10年前の本なので細かく触れられていませんが、最近では、SNSやYoutubeなどの動画共有サイトなどでブームに火がつくこともあります。ただこれらは、前者がオープンなメディアで、後者がクローズドなメディアというだけで、不特定多数の人に情報が発信されるという意味では変わりありません。

また、前者は購読者、読者、視聴者、後者はフォロワーなどの数に左右されるのも特徴です。

他方で、これらのメディアは、先程はブームに火をがつくと表現しましたが、実際は既についている(しかもその多くの場合はわずかな)火をさらに燃え上がらための手段の一つであって、要は、まったく誰からも注目されていないようなこと、つまり、火が付いていないことに関しては、火をつけられないというよりは、そもそも注目したり取り上げたりしないため、注目されることはありません。

私なりの理解では、やはり、ゼロイチは変人数人がやり、その後の1~10は口コミで広がり、10を超えた段階でいろんなメディアに注目されるというステップだと思います。

そういう意味では、ビジネス的な視点から、ブームを起こして注目してもらおうとする場合は、まずは何らかの方法でゼロイチを達成する必要があります。それが、本引用箇所でも触れられていましたが、とにかくセグメント化し、マニアという自分たちのファンを育て、そこを徹底させることで自然とファン層が広がり、そして、メディアにも注目されてブームに火がつく。という流れなのだと理解しました。

要は、はじめからウケを狙ってもダメなのです。もちろん、まったくウケないのも問題ですが、一部の人の深いところに刺さるようなネタをどう生み出すか。もしあなたがブームを起こしたいと思っていたら、このような観点からアプローチしてみてはいかがでしょうか?

 

一介の読書オタクより


画像引用元:https://www.amazon.co.jp/テレビは見てはいけない-PHP新書-苫米地-英人/dp/4569699936/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1549725875&sr=8-1&keywords=%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%81%AF%E8%A6%8B%E3%81%A6%E3%81%AF%E3%81%84%E3%81%91%E3%81%AA%E3%81%84

参考図書:『テレビは見てはいけない 脱・奴隷の生き方』
発行年月:2009年9月
著者:苫米地英人(とまべち・ひでと)
発行所:PHP研究所
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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