失敗を恐れず、生きた経験を大事にしましょう!

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第132回

~『現代中国経営者列伝』(高口康太著)を読んで学んだこと~

 

失敗しても、それを糧に何度でも挑戦すればいい。

 

本書の帯には、「明治維新+高度成長=改革開放!?」と書かれています。

私も中国に居る身としてこの表現が一番しっくりときます。今の中国の勢いを考えると、高度経済成長期だというのは誰でもわかると思いますが、どうやらそれだけではない大変革が起こっているような気がしてならないのです。

日本でも、明治維新から40年、戦後から40年ともの凄いスピードで成長する時期がありました。他にも似たようなことを経験している国はありますので、改革開放から40年で中国がここまで経済発展したことで、中国だけスゴイというように特別視をする必要はありませんが、日本の過去の例と比べると、国全体の経済成長と国内市場が伸びている時期と合致しているところが似ているような気がします。

ただ、これらの例に共通するのは、40年前は何もないかそれに近い状態だったことです。一番重要なのは、既得権益層や抵抗勢力が少なかったことで、やる気のある若者たちが自分の才能と努力によってその能力を開花させ、業を起こし、自分と事業を成功させ、国の発展にも大きく貢献してきました。

本書は、このような貧困にあえぎ混沌とし、他方で希望に溢れた時代の中を生き抜いてきた不屈の精神を持っている中国の有名な起業家たちについて紹介されています。

どれもどうやってそこまで調べたのか?と思うほど詳細でかつ興味深いエピソードが満載ですが、今回は今中国で一番有名と言ってもよいこの人を取り上げたところから引用します。

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/photos/男-ボード-図面-筋肉-強い-2037255/

 

【この本のポイント!】

 

初の起業

(中略)教師として順風満帆のキャリアを歩んでいた馬雲だが、新たなチャレンジを決意していた。教師ではなくビジネスの世界に飛び込もうと考えていたのだ。教師の仕事は性に合っていたが、国中がニュービジネスに沸く中でずっと学校に残っていても生徒たちには何も教えられなくなってしまう。自分自身でビジネスの世界を経験することが重要だと考えた。(中略)
雇ってくれる企業がないなら、自分で会社を作るしかない。そう考えた馬雲は1992年に起業する。英語教師という地位を生かした翻訳会社、海博翻訳社である。大学教師をやめず、二足のわらじでの起業となった。退職した教師を翻訳スタッフとして雇用する形態で会社は始まったが、最初のうちはオフィスの家賃すら払えないありさまだったという。会社を守るため、馬雲は「100円ショップの里」として知られる浙江省義烏市の卸売市場から衣料品や小物、生花を仕入れては転売して金を稼いだ。仕方なくやった副業だが、この経験が零細ネットショップの集合体という阿里巴巴に存分に生かされているのだろう。(中略)

 

三度目の正直、三度目の起業

(中略)1999年1月、中国国際電子商取引センターを辞職した馬雲は故郷・杭州市に帰る。同僚や自分の学生などを中心に16人を自宅に招き、民間企業向けのB2B電子商取引企業を設立したいとの構想を明かした。(中略)
こうして阿里巴巴が創設された。(中略)
同じく1999年10月には阿里巴巴の発展を決定づける重要な出会いがあった。ソフトバンクの孫正義だ・
会議が始まると、孫は「阿里巴巴について話して下さい」と促した。そこで馬が将来のビジョンについて話し始めた。6分ほど話した時のことだった。孫はすっと馬のもとに近づいた。そして、4000万ドル(約45億6000万円)を出資しようと切り出したのだった。
「阿里巴巴本社の調査などもなく、たった6分で大金を獲得した」、これが馬雲と孫正義の6分間の伝説だ。(中略)
融資は2001年1月に実行されたが、まさにこの年、ドットコムバブルが崩壊し、IT企業の多くは資金繰りに窮することになる。バブル崩壊直前という最高のタイミングで、阿里巴巴は重要な資金と得がたいパートナーを獲得したのだった。(後略)

 

『現代中国経営者列伝』P152~P162

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/photos/メンター-グレーブレイザー-2494673/

アリババのジャック・マーと言えば、日本人でもその名前を知っている人は少なくないと思います。そんな彼であっても、過去にはこのような不遇の時代があったのです。それでも彼はあきらめずに何度も挑戦し、アリババを起業した後も何度か会社を潰しそうになるような経験もしながら、その都度不屈の精神で乗り越えてきました。

ここでは日本の起業家が書いた本を取り上げることが多いのですが、そのこともあり、今は超大企業となっている会社であっても、創業者が若かった頃から順風満帆であったことはほぼ稀で、ほとんどの創業者は、ジャック・マーのように逆に数多くの失敗や困難に直面しながら、それでもあきらめずに前に進み続けた結果、今ある大きな組織にまで築き上げてきたというのを知っています。

ただ、創業者と一緒に苦楽を共にした創業メンバーが残っている間はまだ大丈夫でも、創業メンバーやそれを知る人たちが去ってしまうと、どのような組織であってもほぼ必ずと言っていいほど組織が硬直化し、仕事のための仕事が増え、悪い意味での官僚化し、自分では何も動かない、ただいるだけでお金をもらうという人が増えてきます。

まぁそれもそのはずで、小さな会社に入る人は、基本的には安定やお金よりも夢ややりがい、チャンスや成長などを求めている人が多く、だから、入った頃は小さくても、やがて会社が大きくなって自分一人の重要度が減るにしたがって疎外感を感じ、辞めてしまう人も少なくないです。

その逆に、今大企業に所属している社員のほぼすべてと言っていい人(創業メンバーやその関係者を除く)は、その会社が大企業だから入ったのであって、つまり、安定や収入、ブランド力や世間体などを気にして入った人ばかりです。要は、苦労なんてしたくなく、楽していい思いをしたい人ばかりなのです。

もちろん、このような人にも優秀な人はいます。というより、利口な人はこのような人たちが多いでしょう。ですので、会社に勢いがある時はさほど問題にはなりません。

ただ、会社がひとたび困難な状況に陥ると、そもそも苦労したくない人ですし、創業者や創業メンバーなどのいくつもの壁を乗り越えてきた人がリーダーシップを取ってくれていればいいのですが、いわゆるサラリーマン社長や組織を背負う覚悟がないリーダー、ようは、自分がトップをやっている時は事なかれ主義を第一とする人たちがリーダーとなっている組織は、坂から転げ落ちるように転落し、最終的には倒産するか他社に買収されるかの憂き目に遭います。

話が随分と脱線してしまいましたが、昨年、ジャック・マーは引退を宣言しました。その理由はいろいろな憶測が流れていますが、いきなりアリババの経営から完全に手を引くわけではありません。それに、創業社長の最後の大きな仕事が後継者を育てバトンタッチすることですし、彼が元々教育熱心な人であったことは間違いありませんので、それに集中したいということであればもっともらしい理由でもあります。
いずれにせよ、下らない憶測をするのではなく、我々としては、ジャック・マーが去った後のアリババが今後も継続的に発展できるかどうか、期待をもって見ていきたいところです。

ジョブズ亡き後のアップルの成功はむしろ稀で、普通は創業経営者がいなくなった後は厳しくなるのが一般的です。

 

お金を残すのは三流
名(仕事)を残すのは二流
人を残すのは一流

 

という、ことわざがありますが、ジャック・マーは果たして…。

 

一介の読書オタクより

 


画像引用元:https://www.amazon.co.jp/現代中国経営者列伝-星海社新書-高口-康太/dp/4061386131

 

参考図書:『現代中国経営者列伝』
発行年月:2017年4月
著者:高口康太(たかぐち・こうた)
発行所:海星社
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

 

 

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