愛とは考え方である

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第48回

~『愛するということ 新訳版』(エーリック・フロム著)を読んで学んだこと~

 

相手との関係は、結局は考え方次第

 

今回はちょっと慣れない話題の本を選んでしまってちょっと後悔していますが(笑)、本書は元々50年以上前に発行されて、世界中で翻訳されているようです。当時はもちろん日本語にも翻訳されているのですが、20年前に新訳として現訳者が元訳者の了解を得たうえで再翻訳したのが本書です。

この本をタイトルのとおり、愛について書かれているラブロマンスだと思って購入すると失敗します。それよりも、むしろ、本書の冒頭に書かれているとおり、愛というものは技術であると論じています。

愛は技術だというとちょっとピンとこない方もいると思いますが、私としては、要は、人間関係であれなんであれ、モノゴトは考えから次第でいくらでも変わるものだという風に解釈しました。

いずれにせよ、ベストセラーの本ですので、ぜひ一冊買って読むだけの価値は十分あると思います。今回は、本書で一番大事だと思われる冒頭部分を下記に引用しました。

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/%E6%89%8B-%E8%83%8C%E6%99%AF-%E9%BB%92-%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%AB-%E9%80%9A%E4%BF%A1-%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%83%A5%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%A3-%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%82%BB%E3%83%97%E3%83%88-%E5%AE%9A%E9%87%8F-565603/

 

【この本のポイント!】

第一章 愛は技術か

愛は技術だろうか。技術だとしたら、知識と努力が必要だ。(中略)愛について学ばなければならないことがあるのだと考えている人はほとんどいない。(中略)
まず第一に、たいていの人は愛の問題を、愛するという問題、愛する能力の問題としてではなく、愛されるという問題として捉えている。つまり、人びとにとって需要なのは、どうすれば愛されるか、どうすれば愛される人間になれるか、ということなのだ。
この目的を達成するために、人びとはいくつかの方法を用いる。主に男性が用いる方法は、社会的に成功し、自分の地位で許されるかぎりの富と権力を手中におさめることである。いっぽう、主として女性が用いる手は、外見を磨いて自分を魅力的にすることである。また、自分を魅力的にするために、男も女も共通して用いる方法は、好感を持たれるような態度を身につけ、気のきいた会話を心がけ、他人の役に立ち、それでいて謙虚でおしつけがましくないようにする、ということである。愛される人間になるための方法の多くは、社会的に成功し、「多くの友人を得て、人びとに影響をおよぼす」ようになるための方法と同じである。実際のところ、現代社会のほとんどの人が考えている「愛される」というのは、人気があることと、セックスアピールがあるということを併せたようなものなのだ。
愛には学ぶべきことなど何一つない。という考え方の底にある第二の前提は、愛の問題とはすなわち対象の問題であって能力の問題ではない、という思いこみである。愛することは簡単だが、愛するにふさわしい相手、あるいは愛されるにふさわしい相手を見つけることはむずかしい―――人びとはそんなふうに考えている。このような考え方には、現代社会の発展と関連したいくつかの理由がある。

『愛するということ 新訳版』P11~14

 


画像引用元:
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何かで読んだのですが、結婚とは、自分のことを幸せにしてくれる人とするものではなく、自分が幸せにしたいといと思う人とするものである、とのことです。

同様に、仕事上のパートナーであっても、この人と組めば自分にメリットがあるという人を探して組むのではなく、この人の夢を叶えるために協力したいと思える人と組むことが大事なのではないかと思います。少なくとも、一緒に組んでいる人たちが互いに相手に対する滅私奉公の精神をもって協力すれば、お互いの関係は長続きしますし、このような人たちであれば、モノゴトを大きく踏み外してしまうような可能性も少ないと思います。

他方で、自分に足りないものを補うために相手と組むのがパートナーシップというものですが、その結果として、ただ単に相手の力を利用しようと、相手におんぶにだっこという状態では、このような関係はすぐに崩壊してしまうのは火を見るよりも明らかです。

話を戻しますが、愛情というのは別に男女間の好いた惚れただけではありません。人を好きになるにせよ、モノゴトを好きになるにせよ、それにはある程度の技術、つまり、考え方が必要です。

人に感謝できるのもその一種であり、年齢が上がれば上がるほど他人やいろんなことに感謝できるようになるのは、人生経験を積むことで、「愛する技術」、がレベルアップし、考え方が変わってくるからだと思います。

新しい考え方を学ぶ参考として、ぜひ本書を手に取ってください。

 

一介の読書オタクより

 


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参考図書:『愛するということ 新訳版』
発行年月:1991年3月
著者:エーリック・フロム(Erich Fromm)
著者:鈴木晶(すずき・しょう)
発行所:株式会社紀伊國屋書店

※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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