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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第58回

~『人を見抜く技術』(桜井章一著)を読んで学んだこと~

 

万人が学びの対象です。

 

最近、本著者の著作物を取り上げる機会が多くなっていますが、読書オタク的に結構響くところがありますので、集中的に読んでいます。ですので、自然とここで紹介する頻度も高くなります。

それはともかく、人は誰しも他人から学んでいますが、得てして自分よりレベルが高い、と自分が感じている人からは学びますが、その逆のパターンは少ないです。ただ、著者は、むしろ自分より劣っている人から学ぶべきだと力説しています。以下の引用文をご確認ください。

 


画像引用元:
https://pixabay.com/ja/%E6%B0%B4-%E6%B4%9E%E5%AF%9F%E5%8A%9B-%E5%B2%A9-%E6%B5%B7-steinig-%E4%BA%88%E7%B4%84-%E5%B3%B6-745617/

 

【この本のポイント!】

できない人から学ぶ

学問やそのほかのさまざまな専門分野を学ぶうえで、自分より知識のある人、もしくは自分よりその分野に深く関わっている人からものごとを教えてもらうのは当然のことだ。いわゆる“できる人”たちからいろいろなことを学ぶ。
しかし、それが“人生を学ぶ”ということになった場合、私はその学ぶ対象に“できる人”をけっして選ばない。私が人生を学ぶのは“できる人” からではなく“できない人”からだ。「あの人がすごい」「あの人はいろんなことを知っている」というように、世界には、いろいろな“できる人”がいるのだろうが、私はそんな人たちにはいっさい興味がない。生きていくうえで私に多くのことを教えてくれるのは “できない人”たちなのだ。
人は、あるレベルに達すると(達したと思っているのは本人だけだったりするのだが)、そのレベル以下の人から学ばなくなる。学ぼうとするのはたいてい、「この人は自分より上」と判断した人からばかりだ。たいがいの人が “能力のある人”を敬(うやま)っていくようになってしまう。でも私は、違う。“できない人”を見て、「なんでできないんだろう?」と考えそこから学んでいく。
私は別に、能力のある人をバカにしているわけではない。ただ私は、なにかに秀(ひい)でているからといって、その人の教えを請(こ)おうとは思わないだけなのだ。それよりも、“できない人”に断然興味がある。「なぜ、できないのだろう?」「人間って、なでこうなってしまうんだろう?」と考える。そこから学ぶこと、得ることの方がはるかい身になるし、自分を成長させてくれる。(中略)
本当は、学者や大学教授などのように、世の中から“能力がある人”と思われている人こそ、“できない人”から学ぶ姿勢を持つことが大切なのだ。
余談だが、かつて“得ることと捨てること”のバランスの取れている大学の先生に一人だけお会いしたことがある。それは、京都大学の名誉教授である数学者の森毅(もりつよし)先生だ。
森先生は、私がそれまでに会ったどの大学教授とも違っていた。数学の大家(たいか)である森先生がこうおっしゃったのだ。「統計学ほどあてにならないものはない」と。
数学者のトップでありながら、数学を否定するようなことを平気でいう。この話を聞いたとき、私は「ああ、この人はやっぱり数学者のトップなんだな」とわかった。頭ではなく、身体でそう感じたのだ。

『人を見抜く技術』P123~126

 


画像引用元:
https://pixabay.com/ja/%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%82%B9-%E8%A7%A3%E6%9E%90-%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF-%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF-%E6%83%85%E5%A0%B1-%E7%A0%94%E7%A9%B6-%E7%B5%B1%E8%A8%88-1769273/

 

これは、人の逆を突くために、自分より劣っている人からこそ学びなさいという逆説的な、あまのじゃく的な話ではなく、能力のあるデキる人から学ぶことは当然ですが、普段は見過ごしがちな、何かを達成できなかった人や失敗した人にもスポットライトを当て、他人の失敗から学び、自分の経験として生かすよう努力しなさい、と。私はこのように理解しました。

そもそも、人や能力に対して優劣をつけること自体がナンセンスという議論はさておき、今の社会が競争社会である以上、モノゴトには必ず順位がつきますし、試験だけでなく、さまざまなことに合格、不合格の判定が発生します。

その中で、○なら○の理由を知りそこから学ぶのは当然ですが、×なら×の原因を分析し、その失敗を自分の経験値として変換して生かすことはとても大事です。

また、ある人のある能力がズバ抜けて高いと、その人の他の能力も凄く感じてしまいがちですが、一人の人間が何に対しても精通しているなどということは基本的にあり得ません。読書オタクシリーズの中でも何度も書いておりますが、「なんでもできるはなんにもできない」が原則です。

逆に言えば、誰であっても、デキる部分とデキない部分が存在します。著者は、他人のデキない部分から多くの学ぶべき点があると力説していますが、そうであれば、その対象はデキる人も含めてすべての人が対象となるのではないでしょうか?なぜなら、デキると思われている人であっても必ずデキない部分が存在するからです。そして、その逆もしかりです。

本書を読んだことで、やはり、誰に対しても色眼鏡をかけず、学びの対象にしなければならないという教訓を得ることができましたし、誰であっても学ぶべきところが必ずあるという確信を持つことができました。

 

一介の読書オタクより

 


画像引用元:https://www.amazon.co.jp/%E4%BA%BA%E3%82%92%E8%A6%8B%E6%8A%9C%E3%81%8F%E6%8A%80%E8%A1%93%E2%94%80%E2%94%8020%E5%B9%B4%E9%96%93%E7%84%A1%E6%95%97%E3%80%81%E4%BC%9D%E8%AA%AC%E3%81%AE%E9%9B%80%E9%AC%BC%E3%81%AE%E3%80%8C%E4%BA%BA%E9%96%93%E8%A6%B3%E5%AF%9F%E5%8A%9B%E3%80%8D-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE-%CE%B1%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%A1%9C%E4%BA%95-%E7%AB%A0%E4%B8%80/dp/4062725525/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1507372376&sr=1-1&keywords=%E4%BA%BA%E3%82%92%E8%A6%8B%E6%8A%9C%E3%81%8F%E6%8A%80%E8%A1%93

参考図書:『人を見抜く技術』
発行年月:2009年1月
著者:桜井章一(さくらい・しょういち)
発行所:株式会社 講談社

※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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