みなさんは自分を前に出していますか?
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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第60回
~『不安のしずめ方』(加藤諦三著)を読んで学んだこと~
従順や迎合だけでは真の安定を得ることはできません。
このような加藤諦三さんの本は、読書オタクの書評で度々触れられていますが、非常に勉強になるというか、毎回読むたびに著者の加藤さんから良い意味で自分が説教されているような気がしてならないのです。
本書もしかりで、私自身、気を付けなければならないなと思うような内容が盛りだくさんですが、本書の内容は特に、私以外の人にもぜひ読んで肝に銘じてもらいたいです。今回は、その中でも特に読者の皆さんにも読んでもらいたいと思った箇所を引用しました。
すべて該当する方は深刻な状態だと思いますが、何事もいっぺんに良くなることはありませんし、そもそも本書の著者が言っているからと言ってそれに盲目に従うことは、それこそ著者が良くないと言っている従順に他なりません。ですので、自分が該当するからと言ってあまり気にし過ぎることはありませんが、読んでいてハッとするようなところは、時間がかかっても構いませんので、少しずつ改善した方が良いでしょう。
では、前置きはこれくらいにして、以下に引用します。
画像引用元:
https://pixabay.com/ja/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BF-%E3%83%95%E3%82%A2%E3%83%B3-%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%A8%E3%82%B4-%E3%83%99%E3%83%8D%E3%82%BA%E3%82%A8%E3%83%A9-%E3%83%8C%E3%82%A8%E3%83%90%E5%BA%83%E5%A0%B4esparta-2530681/
【この本のポイント!】
服従とは自分自身の強さと統一性の放棄である
相手に気に入られることで、人生の問題は解決しない。
相手に気に入られても日常生活における「脅え」はなくならない。
たとえ相手に気に入られたと感じても、いつも脅えていなくてはならない。
それは、たとえ気に入られても、引き続き気に入られているかどうかを確かめていなければならないからである。
安心するために気に入られようとすれば、いつも心配していなければならない。
自分を信じられない人は、どんなに相手に気に入られても心配で心配で仕方がないのである。
それがフロムの言うように服従の最大の問題点である。(中略)
服従によって意識的には安定するが、無意識においては不安である。(中略)
迎合する人は傷つきやすい
大切な視点は、従順と素直さは違うということである。
素直な人は、相手とコミュニケーションできる。
従順は、相手に合わせるだけでコミュニケーションはしない。
従順な人は、眼に見えない鎖で繋(つな)がれている。
従順は、心の奴隷である。
従順な人は、自由を失っているのである。
人は、不安から自分を守るために従順になった途端、相手が怖くなる。
相手に対して心の底で敵意を持ちながらも、なんとなく相手の言うことに従わなければいけないような気持ちになる。
そして、相手に拒絶されると、ものすごく心理的に不安定になる。
相手のなんでもない一言で、自分でも驚くように深く傷つく。そして落ち込む。もうどうしていいかわからなくなる。自分の居場所がなくなる。ただオロオロしてしまう。
ここまで動揺するのは、何度も言うように、迎合することで、心理的に頼りなくなっているからである。(中略)
自分を出せば自身がつく
たとえ相手に気に入られたとしても、気に入られることで、その人の心の底の不安がなくなるわけではない。
支配-服従の関係にある者は、基本的にいつも不安である。
どんなに相手に服従していても、「見捨てられる不安」から免れられるわけではない。
カルト集団などの信者が教祖に競って服従する。教祖に対して服従競争をする。
それは服従しても服従しても、不安が消えないからである。
そして、いつも相手が怒るのではないかとビクビクしている。相手の不機嫌が怖い。
その脅えた態度は、心の底の頼りなさが表れたものである。
迎合した者は、いつも脅えている。
相手が上司であれ、親であれ、友人であれ、配偶者であれ、恋人であれ同じことである。
いつも相手が不機嫌になるのではないかとビクビクしている。(中略)
そして、見捨てられる不安から、迎合的な態度をとることで、その人の見捨てられる不安はさらに深刻化する。
迎合は人生の課題を解決しない。これはいくら肝に銘じても銘じすぎることはない。
逆に自分を出せば自信もつくし、人からの好意がなくても生きていけると感じられるようになる。(中略)
自分を安売りするな
不安から自分を守るために従順になることで、ますます人から嫌われることが怖くなる。
人からイヤな顔をされると落ち込んで泣きたくなる。
時には、どうしていいかわからないで死にたくなる。それほど嫌われるのが恐ろしくなる。
じつは、自分の立場を主張しても嫌われるだけではないのに、嫌われる気がしてくるのである。
相手と自分と、どちらが要求して、どちらが従ってもいいのに、相手が要求し、自分が従うのが当たり前になってくる。それが心の習慣になる。(中略)
自分を安売りしたり、相手に過度に従順になったりすると、相手は逆に自分自身を過大評価し始める。
あなたは自分を安売りしているのに、相手はあなたを高く買ってやったと思いがちである。
そして、あなたはしなくていい仕事をする。
してあげる必要がないことまでしてあげる。
あなたの責任ではないことまでしてあげて、疲労困憊(こんぱい)する。
その結果、相手はさらに高慢になる。
相手は、あなたをたいしたことがない人間だと思うようになる。
心理的にボロボロになっている
あなたは今まで、いろいろな人に従順に生きてきた。
でもそれでなにか良いことがあったのだろうか。
それで愉快な気持ちになれただろうか。
気持ちが軽くなったことがあるだろうか。
従順になったことで憂うつな気持ちが晴れたことはあるだろうか。
むしろ逆で、従順に生きてきた結果、あなたは憂うつな気持ちに苦しんでいるのではないか。笑って遊べる能力を失ったのではないか。
活動することが億劫(おっくう)になったのではないか。
従順に生きてきて、今、自分のしている仕事に興味を持っているだろうか。
ビジネスパーソンとしてあなたは幸せだろうか。
もしかすると、従順に生きてきたあなたは、今、自分の人生を立て直す気力も失っているのではないだろうか。(中略)
早く自分の人生を立て直さないと、これから先はもっと恐ろしい憂うつが待っている。
もっと体調を崩すことが待っている。
だからもう、自分の本性を犠牲にして、相手に迎合するのはやめよう。
今日から、今までのように相手に迎合した生き方はやめよう。
今日から新しい自分になろう。
生きるということは、辛くて、暗くて、重くて、悲しいことではなく、楽しいことなのだ。
犠牲を払うから幸せになれない
あなたは人に何かを頼めない。でも人はあなたにいろいろなことを頼んでくる。そしてあなたは無理をしてそれを行う。おかしくないだろうか。
従順なあなたは、皆に大切にされてきただろうか。
あなたの周囲から誠実な人は去ってしまい、今、周囲にいるずるい人たちは、あなたが見ていない陰で美味しいところを食べている。
迎合する人は、「周囲の人に、私はいい人と見られている」と思っている。
しかし多くの場合、逆である。軽く見られているのだ。
不安から自分を守るために迎合しそうになったときに、「軽く見られるだけだ」と自分に言い聞かせる。
そう自分に言い聞かせて迎合しそうになる気持ちに打ち勝つことが、不安をしずめる方法なのである。
素直な人は、優しい人々から尊ばれるが、不安から従順になる人は相手から尊ばれない。(後略)
『不安のしずめ方』P70~81
画像引用元:
https://pixabay.com/ja/%E6%B5%B7%E6%99%AF-%E3%82%B7%E3%83%89%E3%83%8B%E3%83%BC-%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%AA%E3%82%A2-%E6%97%A5%E3%81%AE%E5%87%BA-%E5%B2%A9-%E5%8F%8D%E5%B0%84-%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%AA%E3%83%BC-2397917/
重ねてお伝えしますが、自分がこのような状態であったからと言って悲観することはありません。まずは、自分が今どういう状態なのかというのを、本書を通じて確認することができたくらいの気持ちで良いと思います。
また、もし自分が本書に書かれているような、従順かつ迎合するような状態にあったとしても、そして、自分自身、それが良くないことだとを本書を通じて認識したとしても、失われた時間は戻ってきませんので、今気づいて良かったと思うしかありません。
大事なことは、人生に無駄なことはないということです。何事も結局は考え方で、今まで無駄にしたと思っていたことであっても、こらからのやり方や生き方でいくらでも生かすチャンスがあります。
もちろん、これまでの人生経験を無理に生かそうとする必要はありませんが、結局生きるというか、必然的に生かさざるを得ないような状況になると思います。それくらい、人生は、特にビジネスは簡単ではないということでもあると思います。
また、結局は、何を取って何を捨てるかということでもあると思います。
従順や迎合することで、表面上の安定やお金や名誉などを得ることができるかもしれませんが、一方で、それを得ることで失うことも必ずあるということです。何事もメリットだけでデメリットは無いということはあり得ないということだと思います。
著者が強調しているように、やはり、無理して自分を捻じ曲げて得ることがあっても、その対価として心や身体の調子を崩すということに帰結すると思います。
仕事であれ遊びであれ、結局は健康でなければ満喫することはできません。誰であっても常に100%の状態であることは皆無だと思いますが、従順や迎合を止めることで、少しでも100%の状態に近づけることができるのではないかと読書オタクは信じています。
みなさんも、今からでも遅くありませんので、少しずつ自分を前に出してみませんか?
一介の読書オタクより
画像引用元:https://www.amazon.co.jp/%E4%B8%8D%E5%AE%89%E3%81%AE%E3%81%97%E3%81%9A%E3%82%81%E6%96%B9-%E4%BA%BA%E7%94%9F%E3%81%AB%E7%96%B2%E3%82%8C%E3%81%8D%E3%82%8B%E5%89%8D%E3%81%AB%E8%AA%AD%E3%82%80%E5%BF%83%E7%90%86%E5%AD%A6-PHP%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%8A%A0%E8%97%A4%E8%AB%A6%E4%B8%89-ebook/dp/B0079A59SW/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1508581440&sr=8-2&keywords=%E4%B8%8D%E5%AE%89%E3%81%AE%E3%81%97%E3%81%9A%E3%82%81%E6%96%B9
参考図書:『不安のしずめ方 人生に疲れきる前に読む心理学』
発行年月:2007年10月
著者:加藤諦三(かとう・たいぞう)
発行所:PHP研究所
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。
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