みなさんは遠征したら、まずどこへ行きますか?
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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第64回
~『やりたいことは全部やれ!』(大前研一著)を読んで学んだこと~
その街の観光地へ行きますか?あるいは・・・
みなさんは、自分がやりたいと思ったことをすべてやることができていますか?本書の著者は、かの有名な大前研一さんで、本書のアマゾンのレビューを見ると、オレはいままでこういうことをしてきたんだ!というような自慢話のような本だという意見が多いです。ただ、私が自分で読んだ感想をいえば、そのようなエラそうな印象は特になく、ただ単に、この人は本当に自分がやりたいと思うことをしてきたんだなと感じ、むしろ、多忙な中で、よくもまぁいろんなところへ行き、いろんな遊びをしっているなと、感心してしまったくらいです。
また、ヤマハの4代目社長で、ヤマハ発動機の初代社長である川上源一さんに関するエピソードも、他書ではほとんど見られない貴重な資料として魅力があります。
たた、個人的になるほどと思ったのは以下の引用箇所です。今の私は、とてもこのようなことができる身分ではありませんが(笑)、今度機会があったら、自分なりにリメイクしてぜひ試してみたいと思いました。まずは、引用箇所をご覧ください。
画像引用元:
https://pixabay.com/ja/%E5%AE%B6-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0-%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3-%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%82%AD%E3%83%86%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%A3-%E5%BB%BA%E7%89%A9-%E4%BD%8F%E5%AE%85-%E5%BB%BA%E8%A8%AD-2943878/
【この本のポイント!】
不動産屋さんで博学に
「大前さんは博学ね。どうして世界中のことをそんなに知っているの?」とよく聞かれる。
自分で言うのもなんだが、博学というよりは雑学、かなりローカルな話をどこから来た人とでもすることができる。これには私の家内もよくずっこけるのだ。
秘訣を明かそう。私は大学を出るまでに、文字通り日本中を旅した。だから、日本はよく知っている。その後留学中も、アメリカ大陸の行けるところならどこへでも、という感じで動き回った。二三年間を過ごしたマッキンゼーという世界組織では、それこそアフリカを除くすべてのところに支社があり、よく出かけていった。しかし、それだけではその土地について博学になれない。
私は「マッキンゼーの客寄せパンダ」といわれて、もっぱら各地の顧客を集めては企業戦略や組織運営の講演をさせられた。だから質疑応答のときなど、ローカルな事情に通じていないと彼らは満足してくれない。もちろん現地事務所の連中がブリーフィングしてくれるのだが、それでは大雑把なことしかわからならい。
そこで、私は新しく行くところでは、かならずはじめに不動産屋に立ち寄ることにしている。不動産というのは不思議な商売で、世界中ほとんど同じ種族がやっているのではないかと思うくらい染色体が似ている。
私のやり方はこうだ。まず、ざっと家の相場を聞く。それでかなり高そうな部類の家を買いたいというのである。相手は喜んで「ご案内しましょう」となる。そこで、翌日のしかるべき時間にホテルに来てくれ、と言う。翌日、おもむろに高級ホテルから出てくれば彼らの、それはもう嬉しそうな期待に満ちた顔が迎えてくれる。しかも彼らは自分の車で来ているから、町中案内してもらうのにハイヤーを雇う必要がない。
まず、「どの家からでもよいが、町の中心部からどのくらい離れているか知りたいので、主要なランドマークを案内して、そこから最初の家に行ってくれ」と頼む。これで街の観光はひとまずすむ。そこから先も、だいたい決まっている。
通常、彼らは自分のいちばん売りたいところ三軒くらいに連れて行ってくれる。大切なのは、そのあいだ間断なく質問することだ。通勤手段は?車の値段は?家を買った場合の税金は?減価償却は認められるのか?外国人は不動産を所有できるのか?普段は留守にしているのがお手伝いさんは簡単に見つかるか?それはいくらか?保険は?ローンの金利は?抵当はいくらまで認められるの?等々。
不動産屋の特徴は、いくら質問しても怒らないことである。それに、彼らはあることないことよく知っているし、夢中で答える。千三つの世界で、この客はもしかしたら脈がある。と質問の真剣さから嗅ぎ取るからだ。英語圏以外でも、比較的英語を話せる人が多い。
つぎに、このアプローチの醍醐味が待っている。すなわち、人が住んでいるところを居抜きで覗けるのである。だいたい、知らない土地に行って家庭の中などなかなか見られるものではない。しかし、不動産が案内してくれる場合はたいていまだ人が住んでいる。そこで、家の主人とも話すことができる。この家の暖房は?セキュリティーは?食料品の蓄え場所は?子供部屋は何人まで?などと言いながら、つかつかと中に入り、クロゼットから何から全部開けてみることができる。と言うより、開けてみることが礼儀なのだ。本当に買いたいなら、天井裏まで見るかもしれないのだから。
しかし、こちらはどのくらいの生活をしているのか、食いかけの料理の材料はどの程度のものか、食器やナイフ、スプーンなどの質はどうかと、鋭い目をやって「生活実感」を吸収するのである。このやり方で三軒も梯子すると、もうこの国に長い間住んでいたような不思議な感覚に襲われる。すっかり「中の上」の生活感覚が体にしみこんでいくのがわかる。
最後は、「じゃぁ」てなもんで、次のアポがあるからと不動産屋にホテルまで送ってもらう。決まって「いつまでいるのか」と聞くので、今回は短いがよく来ているので連絡するよ、と言ってお別れだ。不動産屋の場合、ここでお金もチップも取らない。名刺を一枚渡すだけでいいのである。世界広しといえども、このような経験をさせてもらって、お金や仮契約の証書をとるような不動産屋はいない。
フィンランドから、ポルトガル、ウルグアイ、アルゼンチン、高雄、クチン、コタキナバル、バンドン、セブ、バンクーバーからパースにいたるまで、私はみなこの方法を使わせてもらっている。そう、このノウハウだけで、その土地に関するあらゆる生活実感と数量的な情報がつかめ、あたかも何年も住んだかのような経験をさせてもらえるのである。
不動産屋は、よく政府の悪口を言う。これを聞き逃してはいけない。銀行が保守的だから女性にはローンを組ませないとか、頭金が三割ないと何もできないとか、住み替えの時の特典がなくなってしまって売れなくなったとか、こうした「庶民の感情」を吸収することが大切なのである。
講演の時に、こうした話題をちりばめ、少しでもローカルな事情を取り上げようものなら、それはもう拍手喝采である。目を白黒(白青?)させて、大前さんはうちの国に関して詳しい、と思ってくれる。こちらはそれを口に出して言うことによって記憶にとどめる。だから、長い間に雑学が身につくのである。
あくどいと思われる人もいるだろう。しかし不動産屋は私の狙う「中の上」クラスの家なら、一年に三軒売れればいいほうなのだ。だから、売り損なってもそれほど客を恨まない。むしろ、カジキ釣りと同じで、一年に三回引っかかるのを楽しむ商売なのである。(後略)
『やりたいことは全部やれ!』P120~124
画像引用元:
https://pixabay.com/ja/%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%81%E3%83%B3-%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0-%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3-%E7%94%9F%E6%B4%BB-%E5%AE%B6-%E4%BD%8F%E5%AE%85-%E4%BD%8F%E5%B1%85-%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%A0-%E5%B3%B6-2486092/
どうですか?思いつきそうでなかなか思いつかない方法だと思います。といより、普通の日本人でこのような図々しさを持ち合わせている人も少ないでしょう。
だいたい、海外の見知らぬ土地の不動産屋さんに行って、私のような一般人がいきなり高そうな不動産を買いたいなんて吠えても、何言ってんだコイツは?ということになるのがオチでしょう。この引用箇所に限らず、大前さんだからできるんじゃないか?と思うような箇所は多々ありますが、やはり、大前さんは海外生活が長いのか、考え方も日本人離れしているというか、日本人という枠では捉えることができない人なのでしょう。
ただ、このようなやり方が道義的にどうかという議論はさておき、仕事や遊びで海外へ行った場合は、観光名所だけを行くだけではなく、現地の人と触れ合う機会を設けた方がより充実するのは間違いありません。
読書オタクの友人で、旅行業界で働いている人がいるのですが、その昔、イタリア北部へ行くと言ったら、イタリアへ行くならぜひトリエステへ行ってもらいたい。と、トリエステという街を薦められました。なので、元々行く予定はなかったのですが、わざわざ一泊割いて、イタリア北部の東の外れにあるトリエステまで行ってきました。ここは、今はイタリアですが、時代が時代なら、オーストリア帝国の港町だったところです。
それはさておき、その友人の説明は素晴らしかったものの、半信半疑でトリエステを訪れましたが、市内の観光名所から、さらにバスに乗って郊外にあるお城まで行き、ちょうど快晴だったこともあり、それなりにトリエステ観光を満喫することができました。むしろ、その直前にいったヴェニスが、期待していた割には、あまりにも観光地風で、天気もあまりよくなかったこともあって期待外れに終わっていたこともあり、一方で、トリエステという聞いたこともない街(失礼ですが)に対しては、初めから期待していない分、良いところがあればあるほどプラス評価が積み重なっていったということも影響しました。
いずれにせよ、トリエステ観光には満足しましたが、当時は特に現地の人と一席設けて交流するというようなことはしませんでした。まぁけど、観光なんてだいたいそんなものでしょう。
読書オタクは、主に、オセアニア、東アジア、東南アジア、ヨーロッパへの渡航経験がありますが、泊まったホテルや現地で申し込んだ日帰りツアーで、たまたま意気投合して、一緒に食事へ行ったり、そのあと友達になったりすることはありますが、全体からすれば5%にも満たない確率です。
話は戻しますが、このトリエステ観光にはどんでん返しがありまして、帰国して例の友人に報告したところ、なんと、本人は一度も行ったことがないことが判明したのです!
けど、かくかくしかじか詳しく説明してくれたじゃないですか、これは行った人でないとなかなかそこまで詳しく説明できないのではないですか?と反問しましたが、彼曰く、ガイドブックの内容はすべて頭に入っているので、たとえ行っていなくても、自分がそこにいるような感じで話すことは造作もない。というような返答でした。
こりゃ、プロだ!
と、半分詐欺に遭ったような気分でしたが(笑)、むしろ、自分が行ったことがないので、私を行かせて情報を仕入れてやろうというようなしたたかさも感じました。恐るべし。。。
要は何を言いたいかというと、やはり、大前さんのように現地の人と触れ合うようなことをしなければ、このように、ガイドブックを読んで空想を膨らますのと大差ないのではと感じました。せっかく、わざわざその土地まで足を運んだわけですから、そこでしか得ることができないローカルな体験をすることが大事なのだなと、改めて思いました。
ですので、読書オタクも、次に遠方地へ行く際は、不動産屋さんへ行くかどうかはわかりませんが(笑)、ぜひこのことを意識したいと思いました。みなさんもそう思いませんか?
一介の読書オタクより
画像引用元:https://www.amazon.co.jp/%E3%82%84%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%AF%E5%85%A8%E9%83%A8%E3%82%84%E3%82%8C-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%A4%A7%E5%89%8D-%E7%A0%94%E4%B8%80/dp/4062750708
参考図書:『やりたいことは全部やれ!』
発行年月:2005年5月
著者:大前研一(おおまえ・けんいち)
発行所:講談社.
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。
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