みなさんは仕事を好きになる努力をしていますか?

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第71回
~『ど真剣に生きる』(稲盛和夫著)を読んで学んだこと~
 
好きこそものの上手なれ
 
本書は京セラ創業者の稲盛和夫さんの著書です。彼が大学を卒業してから本書を書いた時点まで、どのように真剣に仕事に取り組んできたかということが書かれています。
 
彼は京セラを創業しただけでなく、KDDIの設立や最近では日本航空の再建にも取り組んで成功させています。一昔前は松下幸之助さん、今なら稲盛和夫さんといえるほどの名経営者といってよいかもしれませんが、多くの人は、彼のような名経営者は特別な人で、自分にはとても彼のようになることはできない。と思っているかもしれません。
 
ただ、本書にも出てきますが、結局はこうなりたいと思い、それに向かって努力を継続したものだけがそこに辿り着けるのだと思います。名経営者は最初から才能がある。元々の環境が恵まれている。などと言って最初からあきらめてしまい、何も努力しない人もいるのでしょうが、自分はダメな人間かもしれないが、ダメな人間なりに少しでもこのような人に近づけるよう努力しよう。と思って、実際に努力し続けることが大事であると著者は説いています。
 
いずれにせよ、本書は仕事に対する考え方について、特に今の若い人には読んでもらいたいと思うところがふんだんにあります。今回は下記の2か所を引用しますが、本書は仕事について悩んでいる人には特にオススメの一冊です。では、以下に引用します。
 
 
画像引用元:https://pixabay.com/ja/岩-壁-植物-希望-成長-適用します-自己主張-カルク-勇気-2443867/
 
【この本のポイント!】
 
「能力」を動かすのは「人間性」
 
言うまでもなく、企業にとって人は財産です。採用や人事は経営者の最も重要な仕事の一つでもあります。ただ、これほど難しい問題はないのも事実。盛和塾でも人材に関する質問が、数多く寄せられています。
なかでも経営者が最も頭を悩ませるのは、「能力か人間性か」という問題でしょう。(中略)
これに関して私は、「能力か人間性か、どちらか一つ」と言われれば、迷わず、「人間性が重要だ」
と答えます。(中略)
能力というのは、それを動かす人間性によって、いい方向へも悪い方向へも発揮されてしまうもの。だからこそ、能力よりも人間性の方が大切なのです。
もっとも、かく言う私も京セラがまだ中小企業のころは、優秀な人材が集まっている企業を見てはため息をついていたものです。「あの会社に比べると、ウチは鈍い人ばかり、これでは会社が大きくなるはずがない」と嘆きすらしました。
そして、才気煥発で能力のある人が入ると、過大な期待をして、どんどん仕事をさせました。その間、ちょっと鈍な人はいささか、ないがしろにした覚えもあります。しかし、その期待が裏切られたことが何度あったか……。(中略)
その点、ちょっと鈍でも人間性がいい人は、鈍ゆえに下積みの仕事でも黙々と懸命に取り組んでくれました。しかし、ある程度の年数が経つと、そのような人がいつの間にか能力を伸ばし、仕事ができる、すばらしい人材に成長していることが多いです。「努力に勝る天才なし」といわれるように、能力は努力していけば向上していくものだと、私は再認識させられました。
そんな経験から私は、「長い目で見れば、なまじっか優秀な人よりも、少しくらい鈍でも努力をする人のほうがはるかに偉大な仕事をする」ということを実感し、確信しています。(中略)
私は、真に会社のためを思い、役に立とうと一緒懸命、誠実に働いてくれる人を誰よりも大切にしていきたいと思っています。そういう人は会社に何が起ころうとも、同業他社から誘いあろうとも、「私はこの会社が好きですから」と言ってビクともしません。企業というお城をしっかり支える石垣の隙間を埋め、より強固にするためのキラリと光る小さな頑丈な石になってくれるのです。(後略)
 
『ど真剣に生きる』P30~P34
 
インタビュー採録②
仕事が好きになる努力をしなさい
 
(前略)会社に勤めたとき、与えられた仕事がそんなにおもしろくないのは、みんな同じだと思うのです。だけど、人生というのは何といっても長丁場なんです。何十年も実社会で生きていかなければなりません。そうであるならば、仕事にしろ何にしろ、いまやっていることを好きになる努力をしなければいけないと思うのです。
たまたま若くして好きな仕事に就ければ幸せかもしれませんが、自分の好きな仕事というのはなかなかあるものではありません。就職した会社で、与えられた仕事を自分の天職だと思えるように自分から仕事に惚れていかなければ、仕事を一生続けていくことはできません。幸せな人生にするか不公平な人生にするかというのは、社会に出て最初に与えられた仕事を自分から進んで好きになる努力をしたかしないかで決まるような気がしますね。(中略)
「好きこそものの上手なれ」という言葉もありますし、また「継続は力なり」ともいいますが、仕事を好きになるよう努力し、それを続けていくことですばらしい力を発揮する。天才とか達人とか名人とかいわれる人たちも、みな単調な仕事を長年やり続けた結果、そのようになっていったのです。地味な努力を続けていった方しか、立派な仕事はできないんだと思うのです。
単調で地味な仕事を生涯ずっと続けていくというのは、本当に心から好きにならなければできない。また、好きになる努力は自分でやるしかない。つまり、自分の人生を大切にしたいのなら、いまやっている仕事を自分から好きになる努力を重ねていくしかないと思います。(中略)
好きな仕事をいくら探しても、そんなのはあるわけがありません。また、何が好きかといっても、二十歳くらいでそんなに考えや人生感がかたまっているわけではないのですから、何もわかっていると思い、決めつけることはおこがましいと思うのです。そうではなく、自分がたまたま遭遇したその仕事を好きになる努力をする、ということが私正解だと思いますね。
 
『ど真剣に生きる』P80~P34
 
 
画像引用元:https://pixabay.com/ja/クロッカス-ブルーム-地球-乾燥-ライブ-黄色-スプリング-2147101/
 
仕事に真剣に取り組めば、嫌な仕事でも好きになる。
 
これは、当たり前のようですが、その境地まで辿り着けていない人がいることも事実です。読書オタクは、その境地に到達できたどうかはわかりませんが、昔は仕事が嫌いで今は仕事が好きですから、恐らくこのハードルは乗り越えつつあると考えていいのかもしれません。
 
私が特に気になったのは一か所目で、どのような人と一緒に仕事をすべきかという指標になる部分だと思います。
 
というのも、誰だって地味で一見おもしろくなさそうな仕事はしたくありません。特に、自分な好きな分野の仕事をしたくてそれに関する学校に入り、卒業後もその仕事に就きたいと考えている人にとっては、それ以外のすべての仕事は邪道だと思えてしまうのは仕方がないと思います。
 
ある程度、年齢と経験を重ねれば、結局は人生にムダは無いというか、遠回りしたと思ったことであっても、その時の経験が非常に重要で、今になってその時の経験が存分に生きているということも珍しくありません。ですが、10代や20代の前半では経験がまだ不足しているため、これは私の仕事ではありません。これは私のキャリアには不要です。といって拒否してしまう人がいるのも理解できます。
 
ただ、強調したいのは、自分がやりたいと思っている仕事=自分が向いている仕事ではないということです。自分がやりたいと思っていた仕事であっても、そうではない仕事でも、向いているや好き嫌いは別で、ひとことで仕事といてもいろんな場面があるわけで、その一連の仕事のすべてが自分がやりたい仕事にするというのは、不得意な部分は同僚の助けを借りたり、外注に出したりなど方法はなくはないですが、難しいと思います。
 
となると、どのような仕事をしていてもやりたい仕事とやりたくない仕事の両方に向き合わなければならず、結局は、それらすべてを含めて好きになるしかないのです。
自分の仕事じゃない。この仕事はやりたくない。と言って離れていった人たちがいますが、本書を読んで、そのような人たちに対して、もっと上記のようなことを話しておけばよかったと後悔しています。
 
もちろん、後悔ばかりしていても仕方がありませんが、自分への戒めとして、自分も一緒に仕事をしてくれる仲間にも、仕事を好きになる努力をし、それを続けることでちゃんと食べていけるプロの集団になれるよう努力していきたいと思います。
 
一介の読書オタクより
 
 
画像引用元:https://www.amazon.co.jp/ど真剣に生きる-生活人新書-稲盛-和夫/dp/4140883278/ref=sr_1_cc_1?s=aps&ie=UTF8&qid=1515204190&sr=1-1-catcorr&keywords=%E3%81%A9%E7%9C%9F%E5%89%A3%E3%81%AB%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%82%8B
 
参考図書:『ど真剣に生きる』
発行年月:2010年9月
著者:稲盛和夫(いなもり・かずお)
発行所:日本放送出版協会(NHK出版)
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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