あなたは戦うべきでないときに戦っていませんか?
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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第141回
~『孫子の兵法』(守屋洋著)を読んで学んだこと~
戦うのは最後の手段、それまでは徹底的に外交努力をすべきです
これは何も国と国との関係に限ったことではありません。個人や組織であっても同じです。
民間の揉め事の場合、話し合いで解決できない場合は裁判に訴えるしかないのですが、裁判なんてほとんど意味がないです。
刑事事件なら、最終的に逮捕されたり牢屋に入れられたりという罰則が待っており、それでもってある程度は被害者も救われる部分もあるでしょうが、民事の場合は、結局は名誉の回復かお金の回収しかなく、前者は非常にあいまいで、後者は訴えた相手がお金をもっていなければ、結局はどうにもなりません。
ですので、争いごとは世の常ですが、争った時点で既に負けているといっても過言ではありません。むしろ、争いが起きることを防止しなかった、それを防ぐ手立てをしてこなかったことを反省すべきで、争いごとが起こった時点で、お互いが100%納得できる解決方法など無いと言ってよいでしょう。
ビジネスの世界であれば、取引先とトラブルになる前に、ウチとトラブルになったらあなたたちも困るでしょ?と思わせられなかったことを反省すべきです。
そういう意味では、仮に取引先との間でトラブルが発生してしまっても、徹底的に交渉で解決する努力をし、譲歩すべきところは譲歩し、破談になることを避けるのがビジネス的には正しいやり方であって、我慢できずにブチ切れてしまうようではビジネスマンとして落第だと言わざるを得ません。
また前置きが長くなりましたが、上記にピッタリの内容が本書にありますので、下記に引用します。
画像引用元:
https://pixabay.com/ja/photos/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%82%A2-%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%B3-%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%AE%E3%83%A5%E3%82%A2-1796970/
【この本のポイント!】
1.百戦百勝は、善の善なるものにあらず
戦争のしかたというのは、敵国を傷(いた)めつけないで降伏させるのが上策である。撃破して降伏させるのは次善の策に過ぎない。(中略)
したがって、百回戦って百回勝ったとしても、最善の策とはいえない。戦わないで敵を降伏させることこそが、最善の策なのである。
『孫子の兵法』P51
3.戦わずして勝つ
(中略)「戦わずして勝つ」は戦争だけではなく、個人の処世にも応用することができる。(中略)つまり武力ではなく、頭脳で戦うことと言っても良い。現代風に言えば、企画力で勝負するのである。
4.勝算がなければ戦わない
戦争のしかたは、次の原則にもとづく。
十倍の兵力なら、包囲する。
五倍の兵力なら、攻撃する。
二倍の兵力なら、分断する。
互角の兵力なら、勇戦する。
劣勢の兵力なら、退却する。
勝算がなければ、戦わない。(中略)
『孫子』の考え方は、きわめて柔軟かつ合理的である。つまり無理がないのだ。その特徴がこのくだりにもよく現れている。(中略)『孫子』の兵法には、かつての日本軍が得意とした玉砕戦法などはない。兵力劣勢なら逃げよと言い切っている。玉砕してしまったのでは、元も子もない。逃げて戦力を蓄えておけば、いつの日か勝利を期待できるというわけだ。(中略)
逃げるのは積極戦略 現代の企業経営においても、Go!サインは誰にでも出しやすい。トップとしての資格が問われるのは、形勢利あらず、劣勢に立たされたときの判断である。撤退の時期を誤らないことこそすぐれた経営者の条件といえる。そのさい、撤退とは反転攻撃に出るための準備であることを銘記したい。けっして敗北思想ではなく、むしろ勝利をめざす積極戦略なのである。(後略)
『孫子の兵法』P55~P59
画像引用元:
https://pixabay.com/ja/photos/%E5%BF%83-%E3%83%98%E3%83%83%E3%83%89-%E8%B6%85%E3%81%88%E3%81%A6-%E9%9B%B2-%E7%A9%BA-2748340/
常に新しいことに取り組んでいる人なら身に染みてわかっていると思いますが、新しいことを始めると、
既得権益層におもしろく思われない
九割は失敗する
のが常です。前者は多少は配慮すべき時もあるのでしょうが、最悪気にしなければそれで済むのですが、問題は後者です。
いくら優秀な人が集まっても、いくら時間とお金をかけても、新しい取り組みの9割は失敗します。これはビジネスに限らず、プライベートであっても同じです。
理由は簡単で、誰であってもどの組織であっても、リソースが限られていますし、たいていのことは、世の中の少なくない人が同じようなことを考えているため、スピードと体力勝負であり、勝つのはほんの一握りで、その他大勢は負けるからです。
そういうトライ&エラーをくり返し、自分や自社なりのミッションを見つけられた人たちが生き残っているのであり、逆に言えば、そこに辿り着くまで起きた数々の失敗に執着しなかったとも言えます。
やる以上は成功した方がいいに決まっていますが、ある程度失敗を経験することで、あっ、これは失敗しそうだな。というのは何となくわかってきます。世の中の状況、財務状況、それに一番大事なメンツなどで何となくわかってきて、事前に回避することができるようになってきます。
ただ、そうなるまでにはある程度の失敗の経験も必要なのは確かですが、再起不能なほどに失敗するのは得策ではありません。そういう意味では、本引用箇所に書かれている通り、失敗した時の正しい引き際を見極められるかは非常に重要だと思います。悩ましいのが、みんな逃げて最後に残った人たちが成功することだってあります。
まぁこのような正解が無いということ自体が、経営だということでしょうか?
一介の読書オタクより
画像引用元:https://www.amazon.co.jp/%E5%AD%AB%E5%AD%90%E3%81%AE%E5%85%B5%E6%B3%95-1979%E5%B9%B4-%E5%AE%88%E5%B1%8B-%E6%B4%8B/dp/B000J8BOKI/ref=sr_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&keywords=%E5%AD%AB%E5%AD%90%E3%81%AE%E5%85%B5%E6%B3%95+%E5%AE%88%E5%B1%8B+1979&qid=1563089359&s=books&sr=1-1
参考図書:『孫子の兵法』
発行年月:1979年12月
著者:守屋洋(もりや・ひろし)
発行所:産業能率大学出版部
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。
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