第12回 「タイでの生産スケジューラ導入の特徴」
この記事を読むのに必要な時間は約 6 分です。
「タイでの生産スケジューラ導入の特徴」
当方のタイの駐在も1年間に迫るにあたり、今回はこれまでに多くのタイでの商談やプロジェクトに接してきた結果を報告させていただきたいと思う。タイでの生産スケジューラ導入プロジェクトの特性をご理解いただければ、これから導入されるお客様にも参考になると思うからだ。
結論から先に申し上げると、タイでの生産スケジューラ導入のプロジェクトでは、
1. 導入目的と方法論が逆転しがちである
何がしたいか?ではなく、何ができるのか? の議論になりやすい。
2. 日系製造業の場合、日本人の考えとタイ人の考えが一致しない
日本人はそれくらいできるだろ? だが、タイ人にとっては、なんでその必要があるのか? が理解できていない。
3. プロジェクトが進めば進むほど、多くの要件・要求が出てくる
最悪の場合は、当初決めた事が完全にひっくりかえされるような場合がある。
上記のようなプロジェクトの特徴は、当方の前任地の中国のそれでも見られたものだが、タイでもっとも顕著な特性は1である。生産スケジューラは、リードタイム短縮・在庫低減・納期回答などの目的に使われる道具に過ぎないのに対して、それをいろいろといじくることに、導入目的がかわってきてしまうのだ。
ではどうしたら、この問題を回避できるのか? 「己を知り敵を知らば100戦してあやうからず」である。まず己であるが、正直な話、海外では日本ほどに当社製品の導入のパートナーの実力も育ってはいない。そこで当社は、日本から月一回定期的にSEにきていただいている。彼らに進行中のJOBのWatchをしてもらっているのだ。手前味噌になるが、日本でのビジネスが好調な当社ならではのサポートといえる。
画像引用元:http://www.newsclip.be/article/img/2014/03/30/21298/4860.html
次に、顧客の中に潜むプロジェクトへの抵抗への対応だが、それが日系製造業の工場のプロジェクトである場合は、2面作戦は欠かせない。原則論をいえば、要件は顧客が出すべきもので、顧客の日本人とタイ人の意思疎通は顧客自身がすべきといえる。しかし、海外ではこの原則論は通用しない。我々ベンダーが常に顧客をリードすべきであるし、顧客内の合意形成も常に支援しなげればならない。ここ2件くらいのプロジェクトで当方は、タイ人側の顧客要求が日本人によりひっくり返される場面に出くわした。ひとつは生産スケジューラ、もう一つは製造実績システムの構築プロジェクトだが、これらのプロジェクトはERPなどに比較して、少人数で検討される場合が多い。本来は顧客も導入パートナーも社内で日本人とタイ人のコミュニケーションを定期的にとるべきだが、言語などの問題があり、なおざりにされる場合が多い。まちがった、あるいは日本人の管理者の意向にそわないプロジェクトになっていた場合、改めて方向転換をすることになるが、そのためには、顧客・パートナーともに無駄な工数と時間を浪費してしまう。
画像引用元:http://www.newsclip.be/article/img/2014/03/30/21298/4861.html
上記は日本で実行される生産スケジューラ導入の一般的な手法(6ケ月間)だが、タイではこれをさらに短くして、できれば3ケ月でコアな機能のみ立ち上げ、その後、スパイラルに機能アップしていく方法をとることが望ましい。その場合、要件ヒヤリングや現状分析 Fit & Gapなどの作業も省くこともある。プロトタイプを組み上げ、顧客にあるべき姿を示した上で、当初からプロジェクトをリードしていくのだ。その際に導入ベンダー側に求められるスキルは同業他社への導入経験だが、それらについては当社には全世界で2000工場以上の事例がある。
セミナご案内
2015年ASEAN経済統合体の発足&タイ生産拠点の新しい方向
~分散型生産体制へ向けたサプライチェーン構築
開催日時: 2014年5月14日 水曜日 13:00-17:00
会場: Grand Millennium Sukhumvit Bangkok (受講無料)
記事引用元:http://www.newsclip.be/article/2014/03/30/21298.html
2014年3月30日(日) 19時00分(タイ時間)
ASPROVA
担当:藤井(fujii@asprova.com)
ウェブサイト:www.asprova.com
■ビジネスハブ香港:香港及び華南、アセアンの情報ステーション
「ハブとしての香港」をコンセプトに、香港及び華南、アセアンの「生」の情報が見られます。http://ideaport.jp/businesshubhk
□お問い合わせ
ビジネスハブ香港の記事に関するお問い合わせは下記までお願い致します。http://ideaport.jp/contactbhh