みなさんはどれくらいチャレンジしていますか?

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第33回

~『IoTとは何か』(坂村健)を読んで学んだこと~

 

成功確率は1000分の3?

 

今回はいつもとはやや趣向が異なる本を選びました。本書は、今話題のIoT(Internet of Things)について書かれた良書ですが、IoTの専門家でもない読書オタクがIoTについて語ったところで誰も聞く耳をもたないでしょう。だから、IoTについては読者ご自身で調べてください。

ただ、読書オタクとして日々さまざまな本を読んでいて感じるのですが、どのような本であれ、出版されている以上は、必ず何か1つは、おっ!と思わせるような内容がかかれているものです。それは本書も同様で、考え方として勉強になったと思った箇所を以下に引用します。

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/arduino-%E3%82%A8%E3%83%AC%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%8B%E3%82%AF%E3%82%B9-%E9%9B%86%E7%A9%8D%E5%9B%9E%E8%B7%AF-ic-%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF-1128227/

 

【この本のポイント!】

4、オープン・イノベーションを求めて

既得権益を解体せよ
米国で何かをやると多くの場合、最初は失敗する。失敗するが、その失敗体験を分析し、次の新しいステージに上がる挑戦を何度も繰り返し、最後は成功をつかむというのが米国の王道パターンだ。むしろ失敗を背景に「チェンジ」を正当化し、「失敗したから体制を変えるしかない」「失敗したから人員をチェンジする」など―—―既存のクローズシステムの既得権益者を切り捨てるために、意図的にそうしているのではないかと思うほどだ。
失敗が根本的なシステム改革を押し切る原動力に変わり、既得権益者が残っていたらできないようなオープン化を実現する。先の電力自由化からスマートグリッド化に行く流れは、いい例だろう。そして、実現したオープンの優位さを背景に、米国発グローバルスタンダードとして世界を席巻するわけだ。
それに対して日本の場合は、最初から失敗はしない。慎重で細かく気を使って作りこむからだ。しかし、人間の社会はどんどん変わる。テクノロジーもどんどん変わる。実は同時にガバナンスやギャランティの与え方とか、それを主導する主体は誰かなどの制度面も変わっていく。ところが、成功してしまった組織はそれについていけない。テクノロジーの変化にはついていけるかもしれないが、最適化して既得権益の塊になった社会的なクローズドシステムが残り、変化に対抗する。
『IoTとは何か』P174~175

(中略)
いろいろなアイデアが出ていろいろなチャレンジをする中から、例えば1000回のチャレンジで成功するのは3回くらい。誰か偉い人が方向性を決めて、ターゲットに向かって皆が資源を集中して効率よく進める―――日本の産業政策の基本の「ターゲティング政策」は、そういうイノベーションに対してはまったく無力だ。100人いるなら100人に自由にやらせて、その中で一番いいものが勝っていく。そういう進化論的状況を作らない限りイノベーションは出てこない。
(中略)
そういう意味で、技術がチャレンジをどんどん簡単にしているのだ。文字どおり「失敗を恐れるな」と若者に言えるようになった。何回でも失敗できる時代になったし、その先にしかイノベーションはない。どんどんチャレンジして、いいと思うものを作ってネットの中に上げれば、それで大成功できるかもしれない。これは30年前には考えられなかったことだ。チャレンジする人にとっては、すばらしい環境だ。

『IoTとは何か』P181~183

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/%E9%81%94%E6%88%90%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99-%E6%89%8B%E8%BF%91%E3%81%AB-%E5%86%92%E9%99%BA-%E3%83%90%E3%83%AA%E3%82%A2-%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%80%82-%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%B3-%E6%8C%91%E6%88%A6-1822503/

 

ここで特に心に響いたのは、1000回チャレンジしても成功するのは3回くらいだというところです。仮に1日1回チャレンジしたとして、1000回チャレンジするのに3年かかります。石の上にも三年いれば暖まると言いますが、まさにこれです。こじつけかもしれませんが、何かを始めてある程度の水準まで達するのには、それくらいの時間と労力がかかるものだということです。

どのようなことであれ、成功させるためにやっているわけで、成功させるという目標があるからこそ、そこに辿り着くまでの失敗に耐え得ることができると思います。

ただ、一度成功しまうと、それを捨てるのもまた大変だということです。そこで、大きな失敗をしたときには、それを理由に個人にせよ組織にせよ大改革を断行してしまう。このようなことで、生まれ変わり、また次の成功への足掛かりを見つける。

このように言われてみれば当然のことかもしれませんが、本書の引用箇所をとおして、どの世界であれ、第一線で活躍されている方に共通するマインドのようなものを垣間見えた気がしました。

 

一介の読書オタクより

 


画像引用元:https://www.amazon.co.jp/IoT%E3%81%A8%E3%81%AF%E4%BD%95%E3%81%8B-%E6%8A%80%E8%A1%93%E9%9D%A9%E6%96%B0%E3%81%8B%E3%82%89%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E9%9D%A9%E6%96%B0%E3%81%B8-%E8%A7%92%E5%B7%9D%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%9D%82%E6%9D%91-%E5%81%A5/dp/4040820584/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1492205584&sr=1-1&keywords=IoT%E3%81%A8%E3%81%AF

 

参考図書:『IoTとは何か 技術革新から社会革新へ』
発行年月:2016年3月
著者:坂村健(さかむら・けん)
発行所:株式会社KADOKAWA

※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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