あなたにとってのお兄さんとお姉さんは誰ですか?
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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第35回
~『シロクマのことだけは考えるな!』(植木理恵)を読んで学んだこと~
マネをするのも簡単ではありません
みなさんは初めて仕事をしたときはどのように仕事を覚えましたか?恐らく、最初は右も左もわからないなか仕事をしなければならず、ほとんどの方が、その職場の先輩や上司から仕事を教わりながらやり始めるのではないかと思います。
ただ、それで許されるのは最初のうちだけです。先輩や上司も自分の仕事がありますし、いつまでも新人の教育に構ってばかりはいられません。特に、新卒であればいざしらず、中途採用の場合は即戦力としての能力を求められます。職場ごとのルールについては、いくらその道のベテランであってもわかりませんので仕方がありませんが、その期間が終われば厳しい目で見られます。
また、子供の頃は、多かれ少なかれ、また、直接であれ間接であれ、センセイにお金を支払っている側ですので、いわばお客様として教えてくださいという態度でもある程度は許されます。
一方で、社会に出れば、お金をいただく側ですので、職場のセンセイに教えられるのではなく、お金をもらうプロとして、自分が会社なりお客様なりにお金以上のリターンを提供しなければなりません。そのためには、最初は職場のセンセイ方からこうとしても、基本的にはセンセイ方から自分で学ばなければなりません。
これらについて、本書の下記の引用部分がおもしろいと感じましたので、以下に引用致します。
画像引用元:https://pixabay.com/ja/%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%9E-%E5%8C%97%E6%A5%B5%E6%B5%B7-%E9%87%8E%E7%94%9F%E5%8B%95%E7%89%A9-%E9%9B%AA-%E9%87%8E%E7%94%9F-%E8%82%89%E9%A3%9F%E5%8B%95%E7%89%A9-%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%83%80-404314/
【この本のポイント!】
チャッカリ性格はこうして作られる
突然ですが、「学ぶ」という言葉の語源って、「マネぶ」から来ているって、ご存知でしたか?
私たちは生まれた直後から、目にしたものを即座に「マネする」よう、遺伝子的にプログラミングされているのです。
最初の「マネぶ」能力を発揮するのは、なんと生後数時間の、まだうっすらとしか目も開いていない新生児。
新姓児を抱いて、大人が「ベロベロバ~!」と、思いっきり舌を出してあやし続けると…生まれたてホヤホヤの赤ちゃんは、なんと小さなお口をモゴモゴして、自分も負けじとベロを動かすべく、頑張るのです。
すごいですね。生まれたばかりなのに、すでにマネする機能が備わっているなんて。これ、「原初模倣」と呼ばれる、人間だけに備わった本能的な性質です。
この「マネぶ」本能は、もちろん、大人になっても一生続きます。他人の動きを線密に模倣することで、私たちは、新しい技術や能力を効率的に獲得できるわけです。
心理学では、もっと意図的、積極的に他人の動きを模倣することを、特に「モデリング学習」と呼んでいます。誰かの行いを見てマネして取る。盗む。それこそが、「学び」の基本といえるのです。(後略)
つまり、兄や姉がいる人は、その気はなくとも、自然とモデリング学習が進みやすい環境にあるといえます。自分だけはマヌケな失敗をしないよう、常日頃から肝に銘じ、大人の前でうまく振る舞えるようになっていくのです。
『シロクマのことだけは考えるな!』P87~88
学生時代の優等生が、社会では意外に「デキない」ワケ
(前略)教科書に書いてあることは、なんとなく技を盗めるような性質のものではありません。(中略)だから、学生時代には、実はモデリング能力はあまり通用しません。(中略)
ところが。学校を卒業して社会に出ると、その立場は一気に逆転します!ある調査によれば、大会社の社長、起業家など、ビッグビジネスの成功者には、圧倒的に「たくさんの兄姉を持つ末っ子」が多い、とのこと!
学校で身に着けた学問(=「学校知」)だけじゃ通用しないのが、社会に出てから学ぶ知識(=「世間知)なのです。
学校では、「きちんと説明される」ことが理解を促進しますが、社会に出ると、ガラッと状況が変わります。
上司や先輩の仕事ぶりをよく見て、それを要領よくモデリングする能力のほうが、圧倒的に重要になるのです。(中略)
「デキる社会人」になりたければ、まずは金魚のフンから
じゃあ長男長女は、社会にでたらもうダメなの!?いえいえ、もちろんそんなことありません。(中略)とにかく、モデリングすべき尊敬できる先生や先輩を、(無理にでも)探し出すことが大事です。さらに、そういう人たちを「兄」や「姉」のように見立てて…思い切って、彼らの「金魚のフン」に徹する勇気。必要なのはそれだけです。(後略)
『シロクマのことだけは考えるな!』P89~92
画像引用元:https://pixabay.com/ja/%E9%87%91%E9%AD%9A-%E9%AD%9A-%E6%B0%B4%E6%97%8F%E9%A4%A8-%E6%B0%B4%E4%B8%AD-%E9%87%91%E9%AD%9A%E9%89%A2-%E6%B0%B4-%E7%86%B1%E5%B8%AF-%E3%82%AC%E3%83%A9%E3%82%B9-%E6%B0%B4%E7%94%9F%E7%94%9F%E7%89%A9-672126/
私個人の見解ですが、プロスポーツで一流と呼ばれる人は、ほぼ例外なく末っ子が多いと思います。一方で、監督などマネージャーで一流な人は、これまたほぼ例外なく第一子が多いと思います。
これらに加え、社長や起業家で一流と呼ばれる人は末っ子が多いということは何となく感じていましたが、本書を読んでなるほどと思いました。確かに、パッと思いつく有名企業の起業家は、末っ子や兄弟姉妹の真ん中が多いというのが正直な印象です。
本書に書かれているように、兄弟で下であればあるほど、特に末っ子であれば、身近に成功と失敗の見本が大勢いるということで確かに環境的には恵まれていると思います。短期的にはお兄さんやお姉さんのお古を着せさせられるという不幸もあると思いますが、長期的に見れば、親戚や兄弟から可愛がられるということもあるでしょうし、ある程度ヤンチャしても許されるでしょうし、お得なことも多いでしょう。
このように考えると、第一子はとても損をしているように感じますが、他方で、たとえば、昔の封建的な社会では、第一子は特別扱いされていたワケですし、結局のところ良い悪いは無いのだと思います。
また、確かに、本書に書かれているとおり、モデリング学習の能力では第一子や兄弟で上の人が損しているところもありますが、それも結局はその人の努力次第です。末っ子だから監督やマネージャーで素晴らしい活躍ができないという風に決めつけるのもよくありません。
今回は兄弟姉妹の生まれ順に関する話でしたが、このような環境面の特性を受け入れたうえで、その長所を生かし、短所を補う努力を怠らなければ、どのような人であっても道は開けると思います。
一介の読書オタクより
画像引用元:https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%AF%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%AA-%E4%BA%BA%E7%94%9F%E3%81%8C%E6%80%A5%E3%81%AB%E3%82%AA%E3%83%A2%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B%E5%BF%83%E7%90%86%E8%A1%93-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%A4%8D%E6%9C%A8-%E7%90%86%E6%81%B5/dp/4101299927/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1493457851&sr=1-1&keywords=%E3%82%B7%E3%83%AD%E3%82%AF%E3%83%9E%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%AF%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B%E3%81%AA
参考図書:『シロクマのことだけは考えるな!― 人生が急にオモシロくなる心理術―』
発行年月:2011年7月
著者:植木理恵(うえき・りえ)
発行所:新潮社
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。
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