みなさんのコネクターは誰ですか?
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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第14回
~『急に売れ始めるにはワケがある』(マルコム・グラッドウェル)を読んで学んだこと~
みなさんは友人知人が多いですか?
多い少ないは人それぞれだと思いますが、自分の友人知人が「自分のものではない」と言われたらどう思うでしょうか?
どのような経緯で特定の人と知り合い、仲良くなるのかは、実にいろんなパターンがあると思います。血縁である家族や親戚はもちろん、学校の同級生、会社の同僚、先輩後輩、部活動や趣味などのクラブサークルでの仲間など、それは多岐にわたりますが、やはり一番多いのは、いろんな集まりに参加したり、特定のコミュニティに属することで、その参加メンバーと知り合い、仲良くなることだと思います。
となると、より行動力のある人、能動的な人が、そうでない人たちよりも自然と友人知人が多くなるといえますが、友人知人のネットワークが広がることに関していえば、その要因は必ずしもこれだけではありません。
以下、本書を読んでなるほどと思った箇所を引用します。
【この本のポイント!】
社会をつなぐコネクター
1960年代末、心理学者のスタンリー・ミルグラムは「小世界の問題」を解明する実験に取り組んだ。
小世界の問題とは、人間はどのようにして結ばれているのかという問題を指す。わたしたちは誰しも、同時的に活動していながら自立的に活動している個々別々の世界に属しているのだろうか?そのため、世界のどこであれ、二つの民族・住民を結ぶ絆は少なく、距離が大きいのだろうか?それとも、ある巨大な互いに絡み合う組織網で結ばれているのだろうか?(中略)
わたしたちはほとんどの場合、それほど広範囲で多岐にわたる交友関係を持っているわけではない。(中略)
関係の六段階分離説は、すべての人が自分を除くすべての人とちょうど六段階でつながっていることを意味しているのではない。ごく少数の人がわずかな段階でその他すべての人とつながっていることを意味する。残る人々はこの特別な少数者を通じて世界とつながっているのである。(中略)
わたしの交友関係は円環をなしているのではなく、じつはピラミッド状になっていたのである。そして、このピラミッドの頂点にはたった一人の人物―ジャコブ―がいて、わたしの人生に含まれる人間関係の圧倒的大多数の直接当事者となっていることがわかった。
しかも、わたしの交流関係は円環していないだけでなく、そもそも「わたしのもの」でさえない。それはジャコブのものだ。まるで彼に紹介されてあるクラブに入会したようなものだ。自分と世界を結びつけている人物、たとえばオマハとシャロンの架け橋となっている人物こそが、わたしたちを社交の輪へと導くわけだが―そして、わたしたちは自分で思っている以上にこの種の人物を頼りにして生きている―世界を束ねる特殊な才能を持っているこのような人々を、本書では媒介者(コネクター)と呼ぶ。
『急に売れ始めるにはワケがある』P53~P58
誰であれ、家族や親戚、同窓や元同僚など主な要因である友人知人はいると思いますが、このように、ルーツが近いからとか、一緒に過ごしたからといってすべての人と仲良くなるわけではありません。むしろ、人間関係という意味では、このような環境が主な要因である友人知人は、特に年齢が上がれば上がるほど相対的に少なくなります。
では、どのようにして友人知人のネットワークが拡大するのか、それは、やはり、いろんな集まりに参加することで新しい人と出会い、その縁でさらに新しい出会いが生まれるということの繰り返しだと思います。
そして、ここが最大のポイントなのですが、多くの場合、その集まりの存在自体は誰かから教えられて初めて知るということです。その集まりに参加することを決めたのは自分ですし、そこで積極的にいろんな人と交流し、新たな友人知人を獲得したことは自分の功績かもしれませんが、これらはその集まりの存在を知らなければあり得なかったことです。
もっといえば、ここでいうコネクターと呼ばれる人は、この集まりの権化のような人です。つまり、今目の前で話している人は、元をたどれば、友人知人がとても多いそのコネクターの人からの紹介がキッカケとなり、巡り巡って、今目の前で一緒に話している。このようなケースが少なくないと思います。
これは凄いことだと思います。何でも縁と言いますが、その縁も元をたどればごく少数のコネクターが起源である可能性が高いのです。そういう意味では、コネクターの方々との縁に感謝しなければならないですね。
逆に言えば、悪縁は勇気を持って切るべきです。でないと、良好な友人知人のネットワークが自分の気づかないうちにコネクターの力によって広がるように、悪いネットワークもその種のコネクターの力により広まり、泥沼に陥る危険があります。
いずれにせよ、私は誰であっても大なり小なりコネクターの役割を果たしていると思います、皆さんもコネクターの方々に感謝しつつ、自分もコネクターとなって良好な友人知人のネットワークを広げましょう!
一介の読書オタクより
参考図書:『急に売れ始めるにはワケがある』
発行年月:2007年6月
著者:マルコム・グラッドウェル(Malcolm Gladwell)
訳者:高橋啓(たかはし・けい)
発行所:ソフトバンク クリエイティブ
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。
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