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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第95回

~『やりたいことをやれ』(本田宗一郎著)を読んで学んだこと~

 

知識は他人の経験であって、自分が体験したことに勝る学びは無い。

 

今回は、再び本田宗一郎さんにご登場いただきました。

彼は本田技研をつくる前にも少なくとも2つ大きな会社(アート商会浜松と東海精機で、両社とも現存)を設立しています。そして、ホンダ設立後は、経営のプロである藤沢武夫さんという良きパートナーを得たことも大きいですが、常に行動してイノベーションを起こし続け、ホンダを浜松の田舎の工場から世界のホンダへと飛躍させました。

そこには、とにかくやってみなければわからない。という、「やらまいか」の精神を感じますが、恐らくこれは、彼が幼少の頃から常に行動し続けてきた結果、外部から得る知識より、実際に自分でやって失敗し、それを修正していく方がより学びが多いということを肌で感じていたからでしょう。

本書は、松下幸之助さんの本のようにひとつひとつが読み切りですので、自分の気になるところだけを読んでもいいと思います。しかも、松下翁の本は一編が2ページですが、本書の一編は1ページで簡潔にまとめられています。つまり、本田語録辞書といっても過言ではないでしょう。

では、以下に特に気になったところを引用します。

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/実行している-ランナー-長い距離-フィットネス-女性-573762/

【この本のポイント!】

 

勝つことの意味

競争のあるところ、必ず首位にたつものがあらわれる。首位が生まれる過程はいろいろだが、いずれにしても、トップに立ってからがほんとうの勝負である。
たしかに、自由で実験的なアイデアの試みや、新しいオリジナルなものへの挑戦も、首位だからこそ悠々とやれるということはある。しかし、これはあくまでもトップをいくものの物の考え方がしっかりしていて、自らをリフレッシュするという自覚のもとになされなければ、単なる勝者のおごりになってしまうだろう。
勝つことの意味は、首位優先の原則のもとで、大きな理想を実現していくことにあるのではないだろうか。

『やりたいことをやれ』P19

 

製品には嘘がない

製品というものは、正直なものだ。製品にはメーカーの理想も、そのまま実現されている。製品は絶対に嘘はいわない。いい訳もしない。
メーカーにとっては、製品の一つがそのメーカーのすべてである。それによって世の評価を受けねばならない。誇大な宣伝も、いい訳めいたものも、そのためには何の助けにもならない。なぜかといえば、言葉や文章には嘘があっても、製品には嘘がないからである。

『やりたいことをやれ』P93

 

歩をうまく使う

将棋の升田幸三九段が「本田技研の工場を見せてくれ」といって、埼玉県和光市にある本田技術研究所を見にきてくれたことがあります。
応接室に入ってくるやいなや、「あんたのところは、歩をうまく使っているなあ」というんですよ。
将棋では、歩は敵の陣地に入ると金になる。その歩をうまく使えないようでは名人にはなれないようです。
会社の経営もそのとおりで、升田さんがみえたとき、守衛さんや受付の女子社員がきちんと応対したからだと思うが、“さすが名人位を獲得するような人は、見るところが違う”と感心しました。

『やりたいことをやれ』P111

 

未来へ進ませる力

現在、この瞬間は過去でもあるが、未来でもあるわけだが、過去における知識の蓄積は、未来に役立てられるものでなければ、それは“知っている”という名のお荷物である。極端にいうなら、その人の現在ならびに未来を毒する、亡霊なのである。こやしにならぬ過去なら、捨てたほうがいい。それを捨てれば未来が考えられる。私などには、そうした過去の知識がないから強い。
私にあるのは、教わって知った知識とともに、実行して知った知識、つまり経験である。このふたつが、私を未来へ進ませる力になっているのだ。私は他人から教わったことや本に書いてあることを鵜呑みにはしなかった。それらはみな他人の過去だと、知っていたからである。

『やりたいことをやれ』P129

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/モトクロス-乗る-風景-パノラマ-日没-山-旅行-3242291/

 

まずは、最初の「勝つことの意味」ですが、ビジネスだけでなく、世の中は基本的に競争の連続です。人によって競争が苦手な人や嫌いな人がいるかと思いますが、人間社会に身を置く限り、競争は避けて通ることはできません。

ただ、競争を勝ち抜いてその道のトップになったからといって、それで安泰というわけでもありません。なぜなら、人間というのは弱い生き物で、競争を勝ち抜いてトップになった時点で、これまでの念願がかなった結果、一時的にせよ燃え尽き症候群みたいになってしまう人もいるでしょうし、安心して油断してしまう部分もあるでしょう。また、それ以上に、これまでの追う立場から追われる立場という未知の局面に突入します。

たとえばビジネスの場合は、たいていの場合はその業界、分野で3位以内に入ってないとまともに食っていくこともままならないでしょう。場合によっては、仕事はトップだけに集中して、その他はニッチな方向へ進むしか生きる道がないという場合も少なくありません。そんな不安定な状況の中で、直ぐに結果がでない長期的な取り組みをしていくというのは非常にツライことです。他方で、食えないからと言って短期的な取り組みばかりに終始すれば、いつか必ず行き詰ります。

このように、艱難辛苦に耐えてようやくトップになってもそれで終わりではなく、さらなる困難に襲われるわけです。本田さんが、トップになってからが本番だというのもうなずけます。このような状況でさらに前に進むためには、その業界や分野のリーダーとして他を引っ張っていくという責任感とビジョンが必要です。それは、一日二日でできるようなことではないと思います。

二つ目の「製品は嘘をつかない」は、もうこの一言でモノづくりの真髄を言い当てているというか、もう何も語る必要もないくらいシンプルかつ的を得たコトバだと思いますし、三つ目の「歩をうまく使う」は、些細なことでも疎かにしてはいけないという戒めだと思います。それぞれ、製品と会社という異なったものを例にしていますが、ビジネスに油断は禁物だということを教えてくれていると思います。

最後の「未来へ進ませる力」は、すべての人が気を付けるべきことだと思います。
知りたいことがあったとして、関連書籍を読むことやわからないことを他人に聞くことは大事ですし、そもそも、最近ではたいていのことはネットで検索すればわかります。

ただ、それでもこのような知識は所詮まやかしだということです。

製品のところで本田さんもおっしゃっている通り、言葉や文章には必ず嘘があります。それが故意にせよ、悪気は無いにせよ、どこかいい加減なところが必ずあると思います。ところが、自分が実際に行動して実行したことは嘘をつきません。

 

愚者は凡人から学び、賢者は一流から学ぶ
あるいは、
凡人は自分の失敗から学び、一流は他人の失敗から学ぶ

 

というようなコトバがありますが、いずれも本田さんからすれば的を得ていないと感じるのではないでしょうか?それよりも、

 

失敗から学ぶ

 

というシンプルな基本を忘れてはいけないと思います。

新しいことにチャレンジすれば必ず失敗します。そこで必要なのは、失敗し、修正し、また失敗したら、また修正するという愚直な行動力です。自分はバカだから無理だなんていう言い訳は通用しません。むしろ、自分がバカだと思うなら、なおさらあまり深く考えず、とりあえずやってみてやりながら修正するという精神が大事だと思います。

やり続ければいつか必ず成功します。
やらなければ失敗はありませんが、成功もありません。

読書オタクがこんなことを言うのも変ですが、本なんか脇に置いてとにかくやってみましょう!

 

一介の読書オタクより

 


画像引用元:https://www.amazon.co.jp/やりたいことをやれ-本田-宗一郎/dp/4569641881/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1529736260&sr=1-1&keywords=%E6%9C%AC%E7%94%B0%E5%AE%97%E4%B8%80%E9%83%8E%E3%80%80%E3%82%84%E3%82%8A%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%93%E3%81%A8%E3%82%92%E3%82%84%E3%82%8C

 

参考図書:『やりたいことをやれ』
発行年月:2005年9月
著者:本田宗一郎(ほんだ・そういちろう)
発行所:PHP研究所

※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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