常にギリギリを目指しましょう!

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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第17回

~『武将の言葉』決断力が身に付く180のヒント(火坂雅志)を読んで学んだこと~

 

常に100点を目指すべきか?

 

世の中にある大抵の試験は、通常、60点か厳しくても70点が合格とされています。もちろん、点数が高ければ高いほど評価は高くなりますが、たとえば、合格点が60点であれば、60点であっても100点であっても合格は合格です。逆に59点であれば、0点と同じです。

これと同じように、勝負の勝ち負けも、相手より少し勝(まさ)れば勝ちということであれば、つまり、60点が勝敗を分ける基準であれば、60点のデキでも100点のデキでも勝ちは勝ちです。一方で、59点のデキであれば、そのがんばりを褒めてもらえるかもしれませんが、何もしなかった場合、つまり、0点と結果は同じです。

今回引用した箇所に書かれている座右の銘は、むしろ、勝つときは60点や70点ぐらいでなければダメだと言っています。80点も取るともう危険で、100点など取ってしまっては、大失敗の元だと言っています。

それはなぜでしょうか?

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/100-%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88-%E7%B5%B1%E8%A8%88%E6%83%85%E5%A0%B1-%E3%81%8A%E9%87%91-%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AA%E3%83%B3-%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%AB-%E8%B2%A9%E5%A3%B2-1165990/

 

【この本のポイント!】

 

勝負の事、十分(じゅうぶ)を六分七分の勝は十分の勝なり、子細(しさい)は八分の勝はあやふし、九分十分の勝は味方大負(おおまけ)の下地也(したじなり)
(武田信玄(しんげん))

この言葉は、私が人生で最初の座右の銘とした言葉である。
普通であれば、大勝利は歓迎すべきことのはずが、なぜ信玄は、六分、七分、すなわち六、70%の勝ちで十分としたのか。
これは、人間のよくある心理の本質を突いている。「勝って兜(かぶと)の緒(お)を締めよ」という言葉もあるが、人は勝利の美酒を口にしてしまうと、その成功体験に心が支配されてしまう。完全勝利の驕りが過信と思考の硬直化を招き、移り変わる現実への分析力を低下させる。とくに若くして成功することは、他社の批判とおのれを顧みる機会を奪い、その弊害は計り知れない。
また、「勝ち」は「負け」に置き換えて読むことも可能だ。負ける時も六分七分でなければ、立ち直ることさえできなくなる。負け上手もまた、肝要なのだ。
後に不敗の武将と謳(うた)われた信玄も、じつは若い頃によく負けた。
負けてもひるまず、勝っても驕らず、おのれを冷静に振り返りつつ弱点を克服してゆく。勝利へ至る唯一の道を説く、信玄ならではの至言である。

『武将の言葉』P4~P5

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/60-%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88-%E7%B5%B1%E8%A8%88%E6%83%85%E5%A0%B1-%E3%81%8A%E9%87%91-%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AA%E3%83%B3-%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%83%AB-%E8%B2%A9%E5%A3%B2-1173253/

 

ここで言わんとしていることは、たとえば、勝負事であれば、60点でも100点でも同じ勝ちは勝ちですが、あまりにもデキが良過ぎると、それを過信し、安心して努力しなくなり、結果、次は手痛い敗北を招くということです。大勝すれば非常に目立ち、また、相手に怨みを与えると共に相手に研究されて、差を縮められる。一方で、勝った方はそれに慢心して努力を怠るため、ついには逆転されてしまう。

これは、スポーツに当てはめるとよくわかる気がします。たとえば、4年に一度行われるサッカーのワールドカップでは、優勝した国が次のワールドカップでは初戦で負けたり、果てはグループリーグ敗退ということが度々起こっています。また、スポーツ選手や芸能人で、10代で結果を出してしまったがために、周りに注目され過ぎて、チヤホヤされ過ぎて、その後をダメにしてしまったという人も多く見受けられます。

他方で、歴史を見ると、戦争というものは世界のどこの場所でも、勝っては負けて、負けては勝つということを繰り返しているように感じますが、これも常に80%や100%の勝ちを繰り返しているからであって、60%や70%の勝ちで満足するというのが如何に難しいことであるかというのが計り知れます。

会社の場合は、続けるか辞めるかは、結局それに携わっている人次第ですのでなんとも言えませんが、事業が一旦大成功すると、そのときはボーナスが上がったりして良いのでしょうが、その後は長い間その後遺症に苦しんでいる会社が多いように感じます。

囲碁というボードゲームも、相手より少しでも陣地が多ければ勝ちなのですが、相手の陣地を全部取ってやろうと欲張ると、その無理を咎められて大抵は逆に大負けします。

このように、大成功したり欲張ったりするとロクなことがありませんが、人間の気持ちをコントロールするのは容易ではありません。他人の気持ちはもちろんですが、自分のもしかりです。

 


画像引用元:https://pixabay.com/ja/%E5%86%92%E9%99%BA%E5%BF%83-%E5%B1%B1-%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B8-%E7%99%BB%E5%B1%B1%E5%AE%B6-%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0-%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%BC%E9%81%8B%E5%8B%95-994037/

 

ただ、これを克服する方法が一つだけあります。

それは、あえてがんばれば60点が取れそうだということに挑戦することです。

たとえば、レベル分けされている資格試験などであれば、80点以上が確実にとれる級を受験するのではなく、59点以下になってしまうかもしれませんが、がんばれば60点以上が取れそうな一つ上の級にあえて挑戦してみる。そうすると、意外とギリギリで通ったりするものです。そして、ギリギリだったからこそ、まだまだだなと思って努力をします。

 

全力でやって60点が取れることに常に挑戦し続けなさい!

 

信玄が言いたかったこととは違うかもしれませんが、私はこのように解釈しました。

 

一介の読書オタクより

 


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参考図書:『武将の言葉』決断力が身に付く180のヒント
発行年月:2011年3月
編者:火坂雅志(ひさか・まさし)
発行所:角川学芸出版

※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。

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