3年半ぶりの香港滞在記 後編

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日本人が経営するゴダイゴゲストハウスという安い値段で宿泊を提供する宿があった。

 

経営者は10年以上もがんばって経営されてこられた。しかし、8月24日を持って、宿を閉じられた。一方、香港には、開業30年近かったラッキーゲストハウスという日本人が経営されていたゲストハウスもあった。私が香港で勉強していたときにはすでにあった宿である。これまで、香港を訪問すると必ずと言っていいほどお世話になった。しかしながら、その宿もこの半年以内に、のれんを降ろされた。

 

どちらも閉鎖の理由は分からないが、賃貸家賃の高沸が原因していることは間違いないだろう。4年ほど前に香港を襲った容赦ない家賃高沸は、賃貸物件で事業を営んだり、香港で暮らす人たちの生活を直撃した。多くの外国人は香港を去ったり、生活の拠点をお隣の中国、深せんに移したりした。この結果、香港のゲストハウスや旅館のような簡易宿の宿泊代が高沸した。ゴダイゴゲストハスのドミトリーは、1600円とがんばって押さえられていたが、同じビルの他のゲストハウスは3500円以上かかった。

 

その宿には、中国から来た旅行者がほとんどだった。そんな中国人らは一泊4000円を払わされていた。「金が無い旅行者はお断り」とでもいうような香港の姿勢が、こんなところに現れている。恐らくシンガポールも同じようなものだろうが。


画像引用元:
http://www.zhuna.cn/hotel-19960.html#zn_qudao=350

 

香港では今でも紙の新聞を読む文化があまり廃れていなかった。恐らく、毎朝、地下鉄の駅前で無料配布される新聞の存在が大きいだろう。飲茶のレストランへ行くと、ほとんどの人は新聞を読んでいた。

 

ほとんどの人と言っても、平日の朝のレストランにいる人は、高齢者や50歳代の人たちが多いのだが。その一方で、日本語の新聞となると、スターフェリーの埠頭の売店に置いてあるのは読売新聞だけだった。3.5年前は読売、日経、朝日はあったのに。日本人は紙の新聞を読まなくなっている結果と、香港在住の日本人は2.2万人ぐらいしかいないという数字の結果ともいえそうだ。


画像引用元:
http://news.sina.com.cn/c/p/2007-06-29/155513340354.shtml

 

日本食は香港社会にはしっかり定着し、寿司を扱う店やレストランは至る所に見られた。また、おにぎりは、コンビニでは定番になっているようだった。一方、コンビニの惣菜やおにぎり、サンドイッチは日本に比べ、おいしいとは言えない。香港のコンビニの名誉のために言っておくと、決してまずくはない。

 

しかし、日本のコンビニのおいしさに比べたら、格段に劣る。また、コンビニはセブンイレブンが圧倒的で、他のコンビニは無いに等しい印象を受けた。

 

経済的には成熟した感がある香港だが、まだまだたくさんのビル建設、インフラ整備が進んでいた。チムサーチュイのニューワールドの再開発、インターコンチネンタルホテルの大リノベーションはこれから始まるという。北京と香港を結ぶ新幹線の駅も建造中である。香港島の地下鉄はさらに延長工事が進んでおり、九竜地区も新路線が建設中である。

 


画像引用元:
http://bluestyle.livedoor.biz/archives/51740147.html

 

屯門という中心部から離れた郊外の町が、中心部と鉄道で結ばれたことから、飛躍的に発展を遂げていた。屯門は昔の面影は全くなかった。また、ここではこの20年の間に、路面電車の線路がきめ細かく敷設され、数多くの路線の路面電車網が出来ていた。その電車には、お客が結構、乗っていた。

 

公衆の中で見た香港人は、実にさまざまな人たちがいた。この3ヶ月で、ベトナムのダラット、ダナン、日本の鹿児島、博多、大阪、京都、東京、タイのバンコクを見てきたが、香港人は忙しそうだ。そしてある意味、生き生きとしている。個性的でもあり、自己主張も強そうだ。精神的に強そうな人たちが多い。ある意味、精神的に強くないと生きにくい社会なのだろう。

 

その中で、精神的にストレスを抱え込んでいそうな人、精神を病んでいそうな人が随分と見られた。電車やバスの中で、老人や子供に席を譲る人々の光景を一度も見ることがなかった。気をつけていないと、人にぶつかったり、押されたりという場面を何度か味わった。ある方が、60歳を前にして、もうそろそろ日本へ帰ることを真剣に考えておられた。その理由はと問うと、香港の「がさつそう」な社会に疲れてきたという答えだった。

 

たしかに、がさつそうな側面が随所に見られるのも今の香港社会でもある。しかし、これは昔と変わらないのかもしれないとも感じるのだが。ある意味、年を取った人には厳しい社会なのかもしれない。


画像引用元:
http://hk.apple.nextmedia.com/news/art/20090513/12751748

 

いずれにしても、色々な人たちをあの狭い土地に抱え込み、小さな国家のように存在してのが今の香港。これからも、友人らを訪ねて、その時々の香港の断面を見ていきたい。今回、お会いできた方々にはありがたい気持ちである。訪問して本当によかった。

 

万国勇太郎

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