その交流会には行く必要がありますか?
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読書オタクが語る日本図書シリーズ 第113回
~『華僑の大富豪に学ぶずるゆる最強の仕事術』(大城太)を読んで学んだこと~
やみくもに交流会へ顔を出すだけでは人脈は広がりません。
以前ここでも書いたような気もしますが、ただ単に異業種交流会やセミナーなどに参加して名刺を交換しても、「それがビジネスにつながるか」という観点で考えた場合、ほとんど意味がありません。
なぜなら、このような集まりにはビジネス目的、つまり、顧客獲得の営業目的で参加する人が少なくないため、極端な話、お互い営業し合うだけになります。
自分から何かをしてあげるのでなく、お互いが何かを得ようとしているような場所では、ビジネスだけでなく、友人を見つけることも難しいでしょう。くれくれ坊主は誰だって嫌がります。
個人的な経験で言えば、セミナーや交流会は、友人づくりのきっかけになったり、しばらく会っていなかった人に思いかげず久しぶりに会うことで話が盛り上がることはありますので、自分の勉強プラスアルファで考えていればそれなりに有効です。ですので、人脈を広げることには間違いなく貢献しますが、ビジネスという観点で考えた場合は、大事なのはその後です。
その後も、一緒に遊んだり、仕事をお願いしたりなど、何かのきっかけで会うことを続けなければ、お互いにただの知り合いで終わってしまいます。このような浅い関係のままでは、特に、ビジネスのような真剣勝負でお互いに助け合うような関係になることはないでしょう。
よくありがちなのは、大して仲がいいわけでもないのに、やれ人を紹介してくれ、やれサプライヤーを紹介してくれなどのお願い事をしてくる人は少なくありません。また、残念ながら、次来る時に日本や中国の物を買って来てくれ。と、平気な顔をして言ってくる人も少なくないから困ったものです。
ちょっと前触れが長くなりそうですので、今回、この辺について詳しく書かれている部分がありますので、下記に引用致します。
画像引用元:https://pixabay.com/ja/スチーマー-中国人-竹-食-中国語のスタイル-蒸し-料理-2336079/
【この本のポイント!】
人脈は広げない方が長くビジネスを続けられる
(中略)
工人数々業を変ぜば則ち其の功を失う。
(こうじんしばしばぎょうをへんぜばすなわちそのこうをうしなう。)
意訳:職人が頻繁に仕事を変えると(技術が身につかないので)成果は上がらない
この戒めの言葉が中国古典にあるということは、昔の中国にもやると決めたことを根気よく続けられない人がたくさんいたということですね。
華僑がどうなのかといえば、はた目には「いろいろなことに手を出してはやめる」ように映っているかもしれません。それは「やり抜く力」がないからではなく、テストした上での取捨選択なのです。
候補として3つのビジネスがあるなら、3つともテストしてみて上手くいきそうなビジネスを残す。マーケティングなども3つの手法があれば、1つずつ試すのではなく最初に全部試して、一番効果が高い手法にお金を投入する。(中略)
やめないための人脈づくりは「広げる」ではなく「深めよ」が正解
ボスの教えの中でも「ビジネスは一人でやるな」は、私にとって最重要といえるものです。(中略)一緒にビジネスをする仲間や協力者を得たいなら、人脈は「広げる」のではなく「深める」のが正解なのです。人付き合いを広げると、一人ひとりとの付き合いが浅くなってしまいます。付き合いの浅い人には「頼めない」ので、結局自分が動かなければならず、一人でやるのと同じになってしまうのです。
それともうひとつ。人脈を「広げる」のと「広がる」のは別だということを認識する必要があります。人脈が広がるのは素晴らしいこと、望むべきことなのです。
3人と深く付き合えば、その3人が深く付き合っている3人(計9人)をそれぞれ紹介してもらえます。その9人がまた3人を紹介してくれれば、合計39人になります。
皆深い付き合いでつながっている人ですので、頼める人が39人に「広がる」のです。自分が直接39人と付き合っても、頼めない人脈が39人できるだけなのです。人を巻き込もうとする時にはぜひ「深めて広がる」人脈術を使ってください。
成果は平凡でもやめなければその道の一流の人に近づける
日本には「道を極める」という言葉があるように、日本人は世界的に見ても、ひとつのことを極めるのが得意な民族です。たとえば武術。武術は日本にも中国にもありますが、「武道」いう言葉および概念は、中国にはありません。
「道を極める」を大切に継続していけば必ず成果が伴ってきます。しかもメリットはそれだけではありません。たとえ成果がいまいちでも、やめずに続けてきたというだけで、その道で一流と言われる人とお近づきになれる可能性が出てくるのです。(中略)
しっかりと成果を出している人は、継続期間が長いだけでなく、日々そのことに投入している時間も長いものです。そこは見落としてはいけいところです。
ですがこの点についても、ものは考えよう。たとえ日々の投入時間が短くても、継続期間が長ければ「信用」を得ることができます。
たとえば毎日頑張って30行のブログを1年間続けてきた人と、毎日気軽に3行のブログを3年続けてきた人では、3年続けてきた人のほうが「長く続けているから信用できる」となる可能性が高いのです。
やめない人は得をして、やめる人は損をする。間違いありません。
華僑流ずるゆる仕事術
深い関係の人ほど大事にして
協力しながら継続していく
『華僑の大富豪に学ぶずるゆる最強の仕事術』P84~P89
画像引用元:https://pixabay.com/ja/人間-スマイリー-絵文字-マスク-多様性-異なる-笑う-泣く-1602493/
たとえば、人材紹介業や弁護士、会計事務所やコンサルタントのような顧客対象が多岐にわたる人たちは、セミナーや交流会に溢れています。私も、一時期よくいろんな会に顔を出していましたが、このような集まりに参加するごとに、またあの人が来ていると思ったものです。
今はやるべきことが定まっていますし、私も自然と、人脈は広めるものではなく深めるものだということに気づいたのか、最近は、自分で主催するのは別として、参加するセミナーや集まりは厳選しています。そういう意味では、このような集まりばかり参加してないで、もっと実務を進めるべきだと思ってしまうのですが、他方で、毎回毎回このような会に参加するのもこれはこれで一つのイメージ戦略なのではという気がしています。とりあえず、人脈を広げることに関しては一定の効果があることは間違いないでしょう。
このような人たちは、一見すすると営業目的の名刺交換であることがバレバレですが、いつも会うことで安心感が生まれる可能性がありますし、毎回いるなと煙たがられる一方で、その人の仕事に興味を持ってもらえる可能性も高くなります。
人はお金を払うことに関してはとてもシビアです。どこかで一回会っただけの人、しかも、大して会話することもなく、ただ単に名刺を交換しただけの人に、お金を払って何かをお願いすることなどまずありません。
ただ、毎回会っているうちに、その人に相談することもあると思います。それにより交流が深まり、最終的にビジネスへとつながっていくこともあるでしょう。
これも「継続は力なり」という言葉ではありませんが、一見無駄だと思えることを続けることで辿り着けます。勉強目的なら別ですが、顧客獲得目的でただ単にセミナーや集まりに参加しても、ほとんどはお金と時間のムダでしょう。その人の存在すら直ぐに忘れ去られます。これは、中国ではよく見かけますが、道端に散乱している名刺とほとんど変わりません。拾う人どころか、見る人も稀です。
ただ、継続することで深みを増すことができます。
また、継続は信用につながるという点も同意します。
単純に、その業界での経験が長い人と短い人とでは、たとえ長いだけで実力は大したことが無い人でも、少なくとも、年数という重みによって、何となく経験があり信頼できそうだと思われます。何となく深みがあるように感じられるのです。逆に、とても優秀な人の方でも業界での経験が短いと、経験が浅いと思われてそもそも話すら来ない可能性があります。
本書は、著者が慕う華僑のボスの仕事のやり方や考え方について紹介されていますが、本書に書かれている内容は、華僑に限らず、すべてのビジネスマンにとって目から鱗が落ちるような話ばかりです。
正直、本によってはすべて読む必要は無いなと思うようなものもありますが、本書に関しては、社会人、特にビジネスをしている人にはぜひすべて目を通してもらいたいです。
一介の読書オタクより
画像引用元:https://www.amazon.co.jp/華僑の大富豪に学ぶ-ずるゆる最強の仕事術-大城-太/dp/4822259285/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1540618588&sr=1-1&keywords=%E8%8F%AF%E5%83%91%E3%81%AE%E5%A4%A7%E5%AF%8C%E8%B1%AA%E3%81%AB%E5%AD%A6%E3%81%B6+%E3%81%9A%E3%82%8B%E3%82%86%E3%82%8B%E6%9C%80%E5%BC%B7%E3%81%AE%E4%BB%95%E4%BA%8B%E8%A1%93
参考図書:『華僑の大富豪に学ぶずるゆる最強の仕事術』
発行年月:2017年9月
著者:大城太(おおしろ・だい)
発行所:日経BP社
※本記事の写真はすべてイメージです。本記事は参考図書の一部を引用したうえで、個人的な感想を述べているに過ぎません。参考図書の実際の内容は、読者ご自身によりご確認ください。
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